新生活のスタートにともない、一人暮らしを始める人が多くなる時期に呼びかけが強まるのが、自宅の鍵の取り扱いです。
築年数の古い集合住宅だけでなく、新築物件であっても選択次第では昔ながらの金属製の鍵を利用しているところもあります。
しかし、そのような金属製の鍵を持ち歩く際に気をつける必要があるのが、鍵番号の流出です。
実は合鍵は鍵本体を持っていなくても、刻印されている鍵番号さえあれば作成できてしまいます。
つまり、鍵本体を盗まれていなくても、合鍵を作られてしまう可能性があるのです。
そのため、鍵番号が他人に見えないように、鍵にはカバーをつけることを求める呼びかけが近年増えています。
なぜ鍵番号だけで合鍵が作れてしまうのか、対策するためには何が必要かを探偵目線から解説します。
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実物の鍵がなくても、合鍵は作れてしまうという指摘に、「これは知らなかった。周りの若い子に勧めます」「鍵カバーって、そういう役目やったんや。可愛いだけじゃなかった」など、防犯上の盲点に気づかされたという声が出ています。
「鍵番号を知られるだけで合鍵を作られてしまう」という言説は近年広く知れ渡るようになっていきましたが、その理由をさらに深く解説していきます。
そもそも、鍵番号とは何なのかを理解している人自体がまだまだ少ないのが現状なので、まずは鍵番号の役割について知る必要があります。
鍵番号はそれぞれの鍵の登録番号やパスワードのようなものではなく、鍵の設計図そのものの役割を果たすものです。
金属製の鍵の仕組みとは、鍵穴内部の形状に合致するように刻み部分の深さや長さ、角度などを鍵本体を作り上げることで解錠できるようにしています。
この鍵本体の作りは一本一本異なるため、本来であれば鍵を制作する工房や会社が一本ずつ作りを細かく記録しておくのが理想的です。
ですが数え切れないほどの鍵を制作すれば鍵一本ずつの作りを記録していくのは困難になるため、ならば鍵自体に設計図を記録しておこうと作られたのが鍵番号になります。
合鍵を作る際に鍵本体を持っていく必要があるのは、合鍵作成を行なう工房や会社が鍵に刻まれた鍵番号から規格を読み取って、同じ仕様を再現してくれるからです。
また、合鍵を作成してくれる工房や会社がいくつも存在する理由としては、鍵番号の仕組みさえわかれば誰でも鍵は作れてしまうためといえます。
そのため、鍵番号は合鍵作成の際に非常に便利な反面、知られてしまえば誰でもすぐ合鍵を作れてしまうのです。
警察庁が公開した防犯対策情報「住まいる防犯110番」によると、2023年の侵入窃盗における侵入手口をランキング化した結果、一戸建て住宅・3階建以下の共同住宅・4階建以上の共同住宅いずれの場合においても侵入手口の上位3つに「合鍵を使っての侵入」が入っています。
基本的に1位は無戸締まり、2位はガラス破壊で3位に合鍵がつけていますが、4階建以上の共同住宅の場合においては合鍵での侵入が全体の2割を占める2位となっています。
この内、元々合鍵を持っている場合と侵入用に新たな合鍵を作った場合の内訳については書かれていませんが、元々合鍵を持てる間柄であれば侵入先の住人とはそれなりの関係性を築けているため不法侵入とはなりにくいことが予想されます。
つまり、鍵番号などから合鍵を勝手に作って侵入する手口の発生率は意外と多いということが言えるでしょう。
無戸締まりやガラス破壊による侵入はたまたま無人であったり施錠されていない部屋を見つけたなどある種の偶発性も考えられますが、合鍵を作る行為はそもそもターゲットに狙いを定めていないと起こりえないため、他の手口と比べてより計画性の高さを疑わせるでしょう。
さらに言えば、普段持ち歩いている鍵を不注意でも他の人から見える場所に置いてしまう場面は日常生活でもそう多くはなく、かなりクローズドな場面であることは想像に難くありません。
つまり、鍵番号から合鍵を作成して住居侵入する行為というのは日常生活でも関わりを持つ顔見知りの犯行である可能性も十分に考えられます。
もちろん、カフェや図書館などのパブリックスペースでたまたま鍵を置いてしまった時に鍵番号を確認した人物が、つきまとい行為によって居住地を把握した上で合鍵を作成するという場合も否定できません。
いずれにせよ、鍵番号を見られないようにしたり、見せないように工夫することは自らの身を守るために重要な対策になります。
鍵番号は合鍵作りに必要な決定的な情報なので、勝手に合鍵を作られないためには鍵番号を見られないようにする工夫が必要ですが、それだけでは対策が不十分な場合もあります。
鍵本体の形状や溝の深さといったものも合鍵作りの大きなヒントとなり、近年は画像解析の技術も発達しているため、写真に記録された鍵の形状を再現できてしまえば、本物の鍵と同じ機能を持つものが作れてしまうことになります。
そのため、鍵番号を知られないようにするだけでは無断の合鍵作成の対策としては不十分なので、鍵そのものを隠しておく必要があるでしょう。
ここまでの合鍵作成は住居用の鍵を想定して解説してきましたが、ロッカーの鍵については鍵本体はおろか鍵番号がなくても作成できる場合があります。
ロッカーのメーカーによっては、鍵本体の写真や鍵の形状が確認できる鍵穴の写真があれば合鍵の作成に対応する場合があるようです。
そのため、もし職場などで固定のロッカーを使い続ける場合、合鍵を勝手に作られることで中に入れた貴重品や衣服を盗まれる危険性があることも頭に入れておきましょう。
今や住居不法侵入の代表的な手口となっている合鍵作成は、合鍵作りが便利になってしまったことの功罪といえるかもしれません。
このような状況下で、合鍵の無断作成の対策方法や必要な知識を覚えておきましょう。
そもそも、無断で合鍵を作成する行為には現在規制する法律が存在しないため、違法行為ではありません。
そのため、ただ無断で合鍵を作られただけでは合鍵を作った人物を何かしらの罪に問うことはできないのです。
合鍵の無断作成を行なった人物が住居侵入や窃盗など何かしらの事件を起こして、初めて合鍵を作った人物に法的な責任を問うことが可能になります。
もし合鍵を無断で作っているかもしれない人物に心当たりがあれば、探偵などの専門家が疑わしい人物の行動を見張って、怪しい動きを起こした際にも決定的瞬間を記録します。
まず最優先で行なうべき対応としては、鍵を他の人に見せたりしないようにする対応です。
鍵カバーを使用して鍵番号が書かれた部分が見えないように対策したり、鍵の形状が知られないようにSNSに写真を載せるなどの行為は避けるようにしましょう。
特に小学生などに家の鍵を持たせたまま学校や習い事に行かせる親御さんも多いですが、鍵をカバンの外にぶら下げておくなどのずさんな管理によって自宅の鍵番号を知られてしまう可能性も十分にあります。
自分だけでなくご家族にも鍵を人に見せたりしないことを徹底した上で、肌身離さず持ち歩いてもらうようにしましょう。
「もしかしたら、合鍵を作られたかもしれない……」
そんな風に思った時こそ、探偵に依頼するのが適切です。
まだ決定的なことは起こっていなくとも、小さな違和感が確実にあなたの心を蝕んでいきます。
合鍵を作られないようにするのが一番の防犯ですが、もし作られてしまったと感じる時は、探偵の以下のような調査が役立ちます。
合鍵問題を迅速に解決するには、事実を明らかにし、犯人を刺激しないように適切な対処を行うことが大切です。
一人で悩まずに、誰かに相談することも視野に入れてみましょう。
監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。監修者・執筆者一覧へ
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