
近年、ネット上にあげられている文章や画像・動画を複製することは容易になり、それに伴って無断転載が問題視されています。
無断転載とは、著作物である文章やイラスト・画像・動画を無断で転載することを指します。
誰でも無断転載の被害に遭う可能性はありますが、どこからどこまでが無断転載と言われるのか、明確に把握している人は少ないでしょう。
そこで今回は、無断転載被害の実態や、似て非なる「引用」との違い、被害に遭ってしまったときの対処法など、順を追って解説していきます。
どこまでが無断転載なのか、引用との違いは、被害に遭ったときに探偵に依頼するメリットなどをお伝えします。
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どこまでが無断転載に該当するのか、インターネットを使う者なら知っておきたい知識になります。
インターネット上にアップロードした情報は、いつでも無断転載される危険に晒されているからです。
本章では具体的にどこまでが無断転載と定義されているのか、くわしく解説していきます。
無断転載は、複製したデータを勝手に不特定多数が見れる場所にアップロードすることを言います。
複製とは、ダウンロードだけではなく、スクリーンショットも含まれます。
ただし、複製をしても自分だけしか見ないようにする、私的利用が許される場合もあります。
※私的利用も禁止されている場合があるため、注意が必要です。
一方で、定められたルールを守れば、転載が認められているケースもあります。
憲法や法律、条文などの法令は著作物ではありますが、著作物の性格上、著作権がないことになっています。
そのため、誰の許可を得ずとも、転載することが可能です。
官公庁とは、国や地方公共団体の役所のことで、公共の福祉に貢献する機関のことです。
転載が許されている理由は、官公庁が文書を作る目的のひとつとして、国民に現状等を広く知らせて国民生活において活用させるということがあるからです。
広報資料、調査統計資料、報告書などが該当します。
発行者の意見を世に示すものが該当します。
例えば、新聞の「社説」などがこれにあたります。
ただし、この論説は、学術的な性質を有するものは除かれます。
くわえて対象となる著作物は「新聞紙または雑誌に掲載して発行された」ものに限定されるため、インターネット上のものや放送などにおける論説等は該当しません。

無断転載と引用の違いとはどんなものでしょうか。
本項では、無断転載と引用の違いについて解説していきます。
引用は、自らの文章を補足したり根拠を示すため、著作物の一部を副次的に紹介・掲載することです。
また、引用するには守るべきルールがあります。
引用が認められるための絶対的な条件は、自分の著作物が「主」であり、引用する他者の著作物が「従」であるという「主従関係」が明確であることです。
この関係が逆転している、あるいは成り立っていない場合、引用とは認められません。
つまり、他者の著作物がメインになっている場合は、引用であるとは認められないのです。
引用は、報道、批評、研究など、正当な目的の範囲内で行われる必要があります。
「好きだから」「みんなでシェアしたいから」という目的で他者の著作物を複製して掲載することは、引用の正当な目的とは認められず、単なる無断転載となります。
その他にも、前述した引用のルールが守られていない場合は引用とは認められません。
無断転載と引用の違いをまとめると、下記のようになります。
| 無断転載 | 引用 | |
| 目的 | 他者の著作物を複製し、それ自体を主として公開する。 | 自分の著作物を補足・補強するために、他者の著作物を従として利用する。 |
| 主従関係 | 他者の著作物> 自分の著作物 (または他者の著作物のみ) | 自分の著作物 > 他者の著作物 |
| 著作者の許諾 | 必要 | ルールを守れば不要 |
| 出典の明記 | 明記しても許諾がなければ違法 | 必要 |

無断転載は、刑事責任と民事責任が問われる可能性があります。
その両方を解説していきます。
他人の著作物を無断で複製し、インターネット上にアップロードする行為は、著作権者の「複製権(著作物を無断で複製されることから守る権利)」および「送信可能化権(著作権者の許可なしに著作物をアップロードすることを禁止する権利)」を侵害します。
著作権侵害と認められた場合、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金が科される可能性があります。
侵害行為を行ったのが法人の場合、その法人に対して3億円以下の罰金が科されることもあります。
著作物には、財産的な権利である著作権のほかに、著作者の人格的な利益を守る「著作者人格権」があります。
無断転載の程度によっては、これらの権利も侵害する可能性があります。
侵害される権利の例
力これらの著作者人格権を侵害した場合、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科される可能性があります。
他人のイラストのサインやIDを消し、あたかも自分が描いたかのように見せかけて公開する行為(自作発言)は、上記の著作権侵害に加えて著作者名詐称罪という罪に問われます。
この罪が適用された場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
著作権侵害によって著作権者が受けた損害の賠償を、請求される可能性があります。損害額は、ライセンス料相当額や、侵害者が得た利益などに基づいて算定されます。
著作権者は、侵害行為の停止を求めることができます。具体的には、無断転載されたイラストや文章などの削除を要求することです。
著作者人格権が侵害された場合、著作者は自身の名誉や評判を回復するための措置(謝罪広告の掲載など)を請求することができます。
このように、無断転載は軽い気持ちで行ったとしても、「知らなかった」では済まされず、著作権法に基づき重い罰則や損害賠償が科される可能性のある危険な行為です。

無断転載被害を解決するためには、一般的に直接の交渉から始まりますが、解決しないときには法的な手続きへと移行する場合もあります。
場合によっては、探偵事務所や弁護士への相談も視野に入れることをおすすめします。
最初に、スクリーンショットで、無断転載をされた証拠を残しましょう。
相手のアカウント名、アイコン、無断転載が判明した日時などを記録に残すことが肝要です。
この時点で、どこまで被害が広がっているかわからない場合は、探偵に依頼をして、インターネットパトロールをしてもらうのも有効です。
証拠を保全した上で、転載されているサイトの運営者や投稿者に連絡を取りましょう。
そして、著作権侵害であるコンテンツの削除を求めます。
悪意なく無断転載をしていた人はこの時点で削除をしてくれますが、無視をして無断転載をし続ける人がいたり、トラブルに発展してしまうこともあります。
その場合は、次のステップへ進みます。
直接の連絡で解決しない、あるいは無視をされた場合は弁護士に相談します。
弁護士を通じて、差止請求(削除請求)や損害賠償請求の旨を記載した内容証明郵便を送付します。
内容証明郵便とは、誰が、いつ、どのような内容の文書を送ったかを郵便局が証明するもので、法的な請求の意志を明確に伝えるための手段です。
SNSや掲示板では、相手が匿名の場合も多いです。
転載者が誰であるか不明な場合、損害賠償請求訴訟を起こす前に、相手を特定する必要があります。
そのために、裁判所を通して個人情報を開示させる「発信者情報開示請求」という手続きを行います。
これにより、サイト運営者やプロバイダから転載者の氏名や住所などの情報を得て、訴訟の相手方を特定します。
内容証明郵便を送っても反応がない、あるいは示談交渉が決裂した場合、最終的な手段として裁判所に損害賠償請求訴訟を提起します。
著作権侵害によって生じた損害について、賠償を請求することができます。
裁判では、著作権侵害の事実、侵害行為の故意・過失、そして損害額などが検討・判断されます。

無断転載被害の相談先は弁護士のイメージが強いかもしれませんが、実は探偵事務所もお力になれます。
ここでは、無断転載被害を探偵に依頼するメリットを解説していきます。
一度インターネットの海に放たれたものは、どこまでも行ってしまいます。
無断転載を根絶するためには、被害がどこまで広がっているのかを把握することが必要です。
探偵はインターネット上をくまなく調べ上げ、無断転載の被害がどこまで広がっているのか調べることができます。
加害者を特定できなければ、差止請求(削除依頼)や損害賠償請求の旨を記載した内容証明郵便を送付することができません。
相手が匿名の場合、突き止めるには、発信者情報開示請求という手間もかかります。
発信者情報開示請求は、手続きを開始してから10ヵ月前後かかるとされているため、時間もかかってしまいます。
また、発信者情報開示請求をおこなうために必要なログが消えてしまってからでは、犯人を追いかけるのは困難になります。
そういった際にも、探偵にご依頼いただければ、独自の情報ネットワークで加害者特定にあたることができます。
手がかりが少ない場合にも、ぜひご相談ください。

無断転載への対処は、時間と労力を要します。
放置すれば被害が拡大し、精神的な負担も大きくなるでしょう。
しかし、だからといって、泣き寝入りすることはありません。
早めの段階で弁護士や探偵などの専門家に相談することで、効率的に問題解決を目指すことができます。
どこまでが無断転載かわからない場合も対応させていただきますので、安心してご相談ください。
当探偵事務所は365日・24時間、無料相談窓口にて相談を受け付けております。
※docomo・au・softbankなどの携帯電話アドレスはドメイン指定設定により毎月10件以上の「送信エラー」が起こっているため、 フリーメール(GmailやYahoo!mail)の利用をおすすめします。しばらく経っても返信が来ない方はお電話にてご確認くださいませ。

監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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