「エンターテイナー折原」と名乗り、SNS上で活動していた東優樹容疑者(29)の逮捕を担当したのは、警視庁の「暴力団対策課」でした。
東容疑者自身は暴力団員ではないにもかかわらず、なぜ組織犯罪を専門とする部署が捜査を担当したのでしょうか。
この点は本事件の背後にある犯罪の構造を考える上での重要なポイントになっています。
本記事ではオンライン調査を手がける探偵目線で解説します。
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逮捕されたのはSNS上で「エンターテイナー折原」と名乗って活動する住居、職業不詳の東優樹容疑者(29)です。
警視庁によりますと、去年10月、旧ツイッターのXに30代の会社役員の男性の顔写真や氏名、勤務先とともに私的な情報を投稿し、削除などと引き換えに現金300万円を脅し取った恐喝の疑いが持たれています。
投稿の削除を求めてきた男性に対し、「自分の価値は自分で決めて下さい。以前、削除料として3万円を提示された時は放置した」、「僕はそれで人のことを潰してきている」などと、投稿を続けることを示唆し、現金を脅し取ったとみられるということです。
容疑者は調べに対し、黙秘しているということです。
容疑者は数年前からSNS上にタレントや著名人の“疑惑”などを投稿してフォロワーや閲覧数を増やすいわゆる“暴露系”の発信者として活動を続けていたとみられ、警視庁は同様の恐喝行為を繰り返していた疑いがあるとみて捜査を進めています。
また情報の入手元や、脅し取った金の使いみちについても詳しく調べることにしています。
暴力団の取締りや排除の強化により、資金源を得るための表立った活動が困難になっているのが実情です。
そこで注目されたのが、SNSの影響力を持つ「暴露系」発信者の存在です。
警視庁は、著名人の疑惑やスキャンダルを発信して閲覧数や再生回数を稼ぎ、収益につなげる「暴露系」発信者と、脅迫などの手口につうじて独自の情報網を持つ暴力団などの反社会的勢力がつながっている可能性を視野に入れています。
この構図はデジタル時代における組織犯罪の新たな形として注目されています。
東容疑者の事件で特に注目すべきは「情報の入手経路」と「脅し取った金の使い道」です。
警視庁は、東容疑者が会社役員の男性の個人情報をどのように入手したのか、脅し取った300万円がどこにどのように流れていったのかについて、詳細な調査を進めています。
これらを解明することで「暴露系」発信者の背後にある犯罪ネットワークの実態が明らかになる可能性があります。
特に、個人のプライバシーに関する機密情報がどのような経路で流出しているかは、組織的な情報収集網の存在を示唆しています
警視庁の暴力団対策課は昨年11月にも、トラブルになった相手のマンションの部屋に無断で侵入し、動画の撮影などを行ったとして「暴露系」の活動をしていた会社役員らのグループを摘発しています。
これらの摘発から見えてくるのは、複数の「暴露系」発信者が連携し、時には反社会的勢力と結びついて組織的な犯罪活動を行っている可能性です。
東容疑者に関する相談が警視庁に過去4年間で約50件寄せられていたという事実も、犯行が長期にわたり組織的に行われていたことを示唆しています。
この事件は、インターネットとSNSの普及により生まれた新たな組織犯罪の形を示しています。
従来の恐喝や脅迫は対面で行われるため、目に見えやすいものでした。
しかし、SNSを利用した場合、加害者と被害者が直接対面する必要がなく、また情報拡散の脅威が被害者に大きな心理的プレッシャーを与えます。
「以前、削除料として3万円を提示された時は放置した」「僕はそれで人のことを潰してきている」という東容疑者の言葉からは、こうした手法が一回限りのものではなく、継続的・組織的に行われてきたことがうかがえます。
こうした犯罪では被害者が世間に知られることをおそれ、被害を申告しないことも多いといわれています。
特に著名人や企業役員などは、スキャンダルが公になることによる二次被害を恐れ、警察への相談を躊躇する傾向があります。
このような人々は組織的犯罪にとって格好の標的となりやすく、実際の被害は表面化している件数よりもはるかに多い可能性があります。
東容疑者の場合も、警視庁に寄せられた相談約50件は氷山の一角かもしれません。
東優樹容疑者の逮捕は、SNSの影響力を悪用した新しい形の組織犯罪を明らかにしたといえます。
「暴露系」発信者の活動の背後には、ネットワークと資金の流れが存在し、それが反社会的勢力と結びついている可能性があります。
こうした新たな脅威に対応するためには、警察といった法執行機関の取り組みだけでなく、企業、プラットフォーム事業者、そして私たち一人ひとりの意識と行動が重要です。
当事務所にもSNS上での暴露や誹謗中傷を止めてほしいという依頼をいただきます。
これまで多くのSNS上の暴露問題を解決してきた探偵の経験からいえるのは、被害が見えにくくても問題を放置せず、証拠収集することが重要だということです。
SNS上の誹謗中傷や不正情報に巻き込まれたら、一人で抱え込まず、専門家に相談しましょう。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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