2025年5月8日、東京都立川市立第三小学校に40代男性と20代男性が侵入し、教職員5名が負傷する事件が発生しました。
同日に男性2人が侵入する前には、その知人である30代女性が子どものいじめトラブルについて教職員と面談を行なっていたことが明らかになっています。
その後学校側と女性の話し合いがまとまらなかった結果、女性が男性2人を小学校に招き入れ、女性の子どもへのいじめ行為を行なっているとされる児童の名前を叫びながら校舎内を徘徊していたということです。
一連の流れを見ると、結果的に器物破損や建造物侵入を行なった男性2名や彼らを招き入れた女性が「加害者」として映るかと思います。
しかし、そもそもの発端は女性の子どものいじめ被害に関する相談となっているため、ある意味ではこの女性も「被害者」側とも考えられるでしょう。
つまり、今回の事件は中心人物である女性は「被害者」「加害者」両方の側面を持っているとも言えるため、全容解明のためには事件につながる要素を複合的に考える必要があります。
今回の記事では、東京都立川市の小学校侵入事件について、探偵目線で多角的に解説していきます。
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東京都立川市錦町3の市立第三小学校に男性2人が侵入し、教職員5人が暴行された事件を巡り、同校に在籍する児童が受けたいじめ被害を保護者が学校側に訴えていたことが関係者への取材で判明した。暴行容疑で逮捕された40代男性は児童の30代母親の知人で、警視庁は学校のいじめ対応を巡るトラブルが事件の背景にあるとみて調べる。
今回の東京都立川市の小学校侵入事件において、客観的に見るなら「小学校に暴漢2名が立ち入った」という立派な不審者侵入事案です。
過去には大阪府の付属池田小学校に侵入した男性が無差別殺傷事件を引き起こし、児童8人が亡くなる衝撃的な事件が発生して以降、学校への部外者の立ち入りにはかなり厳重な対策が敷かれるようになりました。
それほどまでに小学校における部外者の侵入というのは学校関係者からするとナイーブな問題でもあり、事件に関するニュースが全国的に扱われる要因だと言えるでしょう。
今回の事件において、母親は担任教師との面談という正規のルートで学校内に入っており、母親に呼ばれて学校内に侵入した男性2名は正式な手続きを踏んでの立ち入りではないため、建造物侵入の罪に問われるでしょう。
しかし、母親についても男性2名が学校内に立ち入る意思があることを確認しているのなら、建造物侵入の共同正犯(2人以上の共同で犯行を行なった場合はすべて同じ罪が適用される)が成立する可能性があるといわれています。
つまり、母親が男性2名に学校内への侵入を指示したり依頼していたことが明らかになれば、母親にも建造物侵入罪が適用されるかもしれません。
とはいえ、母親が男性2名に学校内で器物損壊行為を行なわせたり、自らの子どもへのいじめ加害が疑われる児童の名を叫ばせることまでを指示していたと立証するのは難しい部分があります。
そのため、校内での器物損壊や傷害に対して母親にまで責任は問えないとも考えられます。
男性2名が校内に侵入して暴行行為を行なっている最中、教職員は児童たちを体育館に避難させるように指示していました。
奇しくも事件当日、小学校では避難訓練を行なう予定があったとのことで、訓練ではなく実践を行なうこととなってしまいました。
しかし、例え訓練を積んでいたとしても実際にトラブルが発生して避難を実行する際に、子どもたちは教職員の物々しい雰囲気を察知して緊張感を持ってしまい、敏感な気質の子どもであればパニック状態に陥ってしまう可能性もあるでしょう。
また、侵入した男性2名は女性の子どもとのいじめトラブルに関与しているとされる児童の名前を叫びながら校内を徘徊していたので、知らない大人の男性にいきなり名前を叫ばれる児童が抱く恐怖感はすさまじいものがあると思われます。
さらに言えば、女性の子どもも親が今回のようなトラブルを引き起こしてしまったということは精神的なダメージにつながりやすく、後々になって登校拒否となってしまう可能性も否定できないでしょう。
もし男性2名が知人女性の子どもがいじめを受けていると聞いて、正義感や義憤に駆られての行動だったとしても、このような二次的被害を生んでしまっている時点でいじめ解決のための効果的な方法であるとはまったく言えません。
今回の小学校侵入トラブルの発端となるのは、女性が子どものいじめ被害について学校に相談したことです。
つまり、いじめトラブルについての対応策がしっかり取れていれば、このようなトラブルが起きなかったということも考えられるかもしれません。
女性が訴えていた子どものいじめトラブルについての詳細を理解することで、今回の小学校侵入トラブルにつながる要素を紐解くことができます。
立川市教育委員会は事件後の取材において、発端となったいじめトラブルについての状況を説明しました。
いじめとされるトラブルは小学2年生の女児同士で発生したもので、女性と担任教師の面談はトラブルの翌日に設けられたものだったということです。
面談は1時間ほど行なわれましたが、学校側の対応に納得いかなかった女性が面談終了後に男性2名に声をかけに行ったという状況でした。
そのため、女性はいじめについての相談を事件当日に初めて行なったということになり、以前から複数回相談を積み重ねたというわけではなかったと判明しています。
いじめへの対処については、学校側は基本的にトラブルの相手同士から話を聞いた上で行なうこととなっているため、学校の対処のためには加害したとされる児童側からの聞き取りが必要な状態でした。
つまり、学校側が必要な対処方法を取りまとめる前に、業を煮やした女性側が実力行使に出てしまったとの見方ができるでしょう。
いじめ問題を解決するためには、まず冷静に問題の全体像を把握した上で、教師をはじめとした学校職員との連携を取る必要があります。
今回の小学校侵入事件は、見方によってはいじめ解決に向けて勢い勇んでしまった行動の結果とすることもできるでしょう。
しかし、行なった行動の内容は明確な器物破損で場合によっては傷害ともなり得る内容な上に、無関係な児童たちに恐怖感による精神的なダメージを与える二次被害をも発生させてしまいました。
このように、子どもを取り巻くトラブルにおいて「被害者」側にならないための対応ももちろん必要ですが、状況次第では「加害者」側に立ってしまう可能性も十分にあります。
特に大人は学校内で子どもとともに時間を過ごせないため、いじめの存在を確認したとしてもその関係性の全容を外部から把握するのは非常に難しいです。
それ以外にも子どもを狙った犯罪も存在し、常日頃から子どもに目を光らせておくことができない中で、子どもを完全に守り切れる自信がない方も多いでしょう。
そんな方は、ぜひ一度探偵にまでご相談ください。
親御さんの目の届かない範囲であっても探偵が目を向けて、もしもの事態に備えてお子様をそばで見守ります。
いじめ問題で探偵にできることは、第三者による客観的な証拠集めです。
具体的には以下のような調査を行います。
いじめは、社会の縮図で起こる、立派な犯罪と言えます。
暴行罪・傷害罪・強要罪に抵触する可能性があります。
例え少年少女がしていることといえど、やっていることは人間に対する加害です。
その負の連鎖を断ち切るために、大人ができることを考えていきましょう。
それは決して、加害をしかえすというものではないはずです。
監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。監修者・執筆者一覧へ
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