
洗脳やマインドコントロールという言葉を聞くと、「心が弱い人が陥るもので、自分には関係ない」と思う人もいるでしょう。
しかし、洗脳やマインドコントロールは、実は私たちの身近に潜む問題でもあるのです。
自分自身はもちろん、家族や親しい人が洗脳やマインドコントロールの被害に遭うのを防ぐため、また、もし被害を受けたときに早期に被害者を救うために、洗脳やマインドコントロールの正しい知識を備えておくことはとても重要です。
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TVやネットの報道の中で「洗脳」や「マインドコントロール」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。
しかし、正しい意味と危険性を理解している人はまだ多くありません。
そもそも、洗脳やマインドコントロールとはどのようなものなのでしょうか。また、どのような危険性を持つものなのでしょうか。
以下、詳しく解説します。
洗脳とマインドコントロールを混同して使用する人も多いですが、厳密には両者は意味が異なります。
洗脳とは、暴力などの強制力を用いて、相手の思想や主義を根本的に変えることです。
そもそも洗脳という言葉は、過去に中国共産党や旧ソ連が戦争の捕虜や、自国の思想に反する者などに対して行ってた思想改造を起源に持っています。
したがって、現代で暴力等を用いた洗脳を行った場合、すべて犯罪行為となります。
日本でも過去に洗脳による事件が起こっています。
北九州監禁連続殺人事件:1996年から約6年間に渡って、福岡県北九州市小倉北区のマンション内で発生した監禁・連続殺人事件。犯人の男は、同居していた内縁の妻を含む親族や知人などを脅迫・暴行などによって服従させた上、命令して同居人同士を殺させた。
福岡5歳児餓死事件:福岡県篠栗町で2020年4月、犯人の女とその「ママ友」の女が共謀し、女の息子(5歳)をネグレクトにより餓死させた事件。ママ友の女は、亡くなった子の父母の衣食住を支配し、食事を取らせないなどの虐待によって服従させていた。
オウム真理教による信者への洗脳:信者に対して修行と称した体罰や暴行を繰り返し、信者の思想を変え、幹部の意のままにコントロールしていた。
マインドコントロールとは、社会心理学のテクニックを駆使して、被害者の意思決定を加害者の都合のいい方向へと誘導する心理操作のことです。
心理操作の手法に暴力などの強制力を用いない点で、洗脳と区別されています。
マインドコントロールの特徴は、被害者の自覚を持たせないまま、その思考や行動をコントロールする点にあります。
そのため被害者は、実際は加害者によって行動を誘導されているにも関わらず「これは自分の意思だ」と思い込んでしまうのです。
マインドコントロールの恐ろしいところは、いくら周りが「騙されている」「支配されている」と被害者に指摘しても、被害者は「そんなはずはない」と受け入れられないところにあるのです。
マインドコントロールは、一度加害者の支配下に置かれると、容易には抜け出すことができなくなります。
これまでも、マインドコントロールによる事件や報道は度々伝えられています。
2023年2月、シンガーソングライターのaikoさんが信頼を寄せていた元音楽プロデューサーの男が、aikoさんの個人事務所に約1億円の損害を与えたとして、会社法違反(特別背任)の疑いで逮捕されました。
男は、デビュー当時からaikoさんのそばでアドバイスなどをする中で「自分がいなかったらライブのバンドメンバーを集められなくなる」などと言ってaikoさんを依存させていたといいます。
また、X JAPANのボーカルを務めたToshiさんが、宗教団体に傾倒し、約12年間で10億円以上の金銭を搾取された件も、マインドコントロールによる被害といえます。
洗脳やマインドコントロールは、被害者がはっきりと自覚を持てないまま、気づいたら心を操作されます。
洗脳やマインドコントロールによって加害者の支配に置かれると、被害者の財産は簡単に奪われてしまいます。
被害者は、加害者に対して自発的に高額な贈与や寄付を続けてしまい、自己破産や家庭崩壊に追い込まれる場合もあります。
もっとひどいケースだと、洗脳やマインドコントロールによって、自分自身では善悪の判断ができなくなり、加害者に命じられるままに犯罪行為に及んでしまう危険性もあるのです。

洗脳やマインドコントロールは、誰がどのような方法で行うのでしょうか。
洗脳やマインドコントロールを用いて被害者の思考を変え、財産や人生を奪う団体として、特に注意しなければならないのが「破壊的カルト」です。
破壊的カルトとは、特定のリーダーや、そのグループの教義にメンバーを盲従させ、メンバーの思考や行動をコントロールする団体のことをいいます。
破壊的カルトは、宗教的なものだけでなく、政治や企業、教育、商業などの様々な分野で出現し、被害者の社会生活を壊そうとします。
また、破壊的カルトはリーダーとメンバーの最低2人さえいれば成立します。すなわち、夫婦やカップル、家族、友人関係であっても、破壊的カルト集団になり得るのです。
破壊的カルトには、次の3つの要素があります。
先に述べたように、破壊的カルトは宗教団体に限ったものではありません。
破壊的カルトは、宗教団体以外のさまざまな形態のものがあるため、注意が必要です。
カルトと聞くと、まず想像するのが悪質な宗教団体でしょう。
実際に宗教型の破壊的カルトは多く存在します。
宗教型の破壊的カルトは、主にその宗教の教義を使い、被害者を強迫します。
「信じなければ祟りにあう」「裏切れば呪いを受ける」「信者のみが終末後に生き残れる」
などの言葉を使い、被害者の恐怖心を煽って服従させます。
商業型の破壊的カルトは、最初は研究会やセミナーなどの名目で被害者に近づき、被害者と信頼関係を作った後「常識的にあり得ない儲け話」を持ちかけて被害者から金銭を騙し取ります。
心理型の破壊的カルトは、被害者の弱みや不安に漬け込み「この人がいなければだめになる」と思わせることで、被害者を意のままにコントロールします。
教育型の破壊的カルトは、被害者の向上心に漬け込み「教えを信じれば今以上の能力を発揮できる」と信じさせてコントロールします。
政治型の破壊的カルトは、平和や戦争反対をうたったり、政治的・社会的問題に対する疑念や憂いを煽ったりし、「この社会は間違っている。我々の考えのみが正しい」とメンバーを団結させてコントロールします。
家庭内という閉鎖された場所でも、破壊的カルトは起こり得ます。
リーダーは同居している相手を支配して、「この人がいなければ生きていけない」と信じ込ませてコントロールします。
家族型の破壊的カルトの典型は、父親による支配です。
リーダーの父親は、他の家族のメンバーを支配し、妻や子どもの自立を妨げます。
また、家族の収入を父に捧げるよう強要したり、家族の結婚や恋愛を強制的に管理する場合もあります。
親子の場合、親による虐待によって子どもを服従させる場合もあります。
企業型の破壊的カルトの特徴は、経営陣が従業員の思考や行動を強力に管理しようとする点にあります。
研修の名目で、企業にとって都合のいい思考に従業員を刷り込んでいきます。
また、企業型の破壊的カルトは、従業員に仕事中心の人生を強いることで、家族や親しい友人から従業員を切り離します。
洗脳やマインドコントロール被害の話を聞くと、被害者の精神的な弱さに原因があると考える人は多いです。
しかし、実際は、そうした被害者の心の強さや弱さほとんど関係ありません。
誰しもが破壊的カルトの被害に遭う可能性があるのです。
とはいえ、カルトの言葉を信じ込みやすい性格というものは存在します。
以下に当てはまる人は、特に注意が必要です。

洗脳やマインドコントロールされていることに本人や周囲が気づくサインはあるのでしょうか。
以下、特に見落としてはいけないサインをまとめました。
カルトに傾倒した人は、大抵家族や友人と切り離され、社会的に孤立させられます。
カルトは、信者やメンバーを社会的に孤立させることで、グループやリーダーに従わざるを得ない状況に誘導するのです。
リーダーのことやグループの活動について、大事な質問ができないという点も、重要なサインのひとつです。
被害者は「自由に発言できている」「対等な関係にある」と信じ込んでいる場合でも、客観的に見て、グループの財政状況に関することなどの意見や質問ができない関係性は、カルトである可能性が高いです。
グループやリーダーの下から離れることに罪悪感を覚えてしまうという点も、見落としてはいけないサインのひとつです。
カルトは、ありとあらゆる手を使って、メンバーをグループの下に留め置こうとします。
グループやリーダーから離れることに罪悪感を抱かせるのは、カルトの常套手段なのです。
リーダーの行動に対するチェック機能がなく、グループの財政状況の透明性がないことは、カルトの大きな特徴です。
メンバーや信者から得た金銭を、どこでどのように使用しているのか明確に開示されていない場合は、カルトである可能性が高いといえます。

被害者が洗脳やマインドコントロールを受けているとき、その家族や親しい人が気付くべき兆候はあるのでしょうか。
被害者を救うためには、洗脳やマインドコントロールを受けている兆候に早期に気づくことが重要です。
以下、特に注意すべき兆候をまとめました。

そもそも、洗脳やマインドコントロールに陥った人を元の状態に戻すことは、とても困難です。
素人判断で行動すると、かえって加害者への依存を強めてしまう結果に繋がりかねません。
当人の状態を見て、家族や親族の話にまったく耳を貸さないような場合には、カウンセラーなどの心理の専門家に依頼することも重要です。
また、当人が所属している団体が違法行為をしている場合などは、迷わず警察や弁護士に相談し、法的解決を図ることも必要です。
とはいえ、家族などの親しい間柄の人だからこそできる解決アプローチもあります。
洗脳やマインドコントロールから被害者を救うための方法を、以下にまとめました。
まず、絶対に当人の話に批判的になってはいけません。
特に、当人に対して「それはカルトだから早く脱退しろ」と頭ごなしに指摘することは避けましょう。
なぜなら、脱退を促したことを組織が知った場合、組織は当人と家族の関係を断つよう指示してくるからです。
そのため、あくまでも当人にとって良き聞き手となり、信頼関係を維持することが重要です。
当人と建設的な話し合いができる関係を維持した上で、当人に対し、所属している団体やリーダーについての正しい情報を提示しましょう。
通常、カルトは、メンバーに対して隠している情報があります。
例えば、組織の財政状況、過去の傷害事件や裁判の記録、刑事告訴の記録などがそれに当たります。
当人は、これまでカルト団体やリーダーから伏せられてきた情報を知ることで「このまま所属し続けてはいけないのではないか」と疑問を持つことができるのです。

先述のとおり、洗脳やマインドコントロールから被害者を救うためには、加害者であるカルト団体やリーダーについての正しい情報を集めることが重要になります。
ただし、被害者の家族や知人が、何の知識もないままにそのような加害者調査を行うことは、かえって被害を拡大させる可能性があり危険です。
そのため、カルト団体やリーダーの情報収集を考えた際は、調査・捜索のプロである探偵に依頼することをお勧めします。
探偵であれば、カルトに関する専門知識を有する調査員によって、安全・確実に、当該カルト団体や企業の内実を調査することができます。
また、カルトのリーダーの身元・身辺調査を行うことも可能です。
探偵の調査によって、当該カルト団体の過去の金銭トラブル、訴訟記録、傷害事件、迷惑行為の履歴の有無などを明らかにすることで、洗脳やマインドコントロールに陥っている方が現実を受け止める手助けをすることができるのです。

洗脳やマインドコントロールは、誰にでも起こり得る問題です。
家族や親しい人がカルトによる洗脳やマインドコントロールの被害に遭っている方、その疑いがある方は、お一人で悩む前に、ぜひ当社までご連絡ください。
当社では、カルトによる洗脳やマインドコントロール被害のケースのご相談を数多くお受けしており、問題解決までお力添えすることができます。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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