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公開日: 2024/12/26
セキュリティコラム
 公開日: 2024/12/26

母親の「正論コントロール」による少年の強盗殺人未遂事件を探偵目線で解説|探偵コラム

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2023年12月15日、大阪市内の公園で当時17歳の少年が60代男性に金銭を要求し、応じなかった男性に暴行し、包丁で刺す事件が発生しました。

この容疑で少年は強盗殺人未遂罪に問われ、懲役9年(求刑14年)の判決を受けることとなりました。

しかし、この事件は少年の突発的な犯行ではなく、背景には母親からの「正論コントロール」が引き金になっていたと言われています。

一見正しい内容に聞こえる正論が、どうして犯罪の引き金になってしまったのでしょうか。

この記事では、「正論コントロール」が起きてしまった事件の背景と「正論コントロール」を起こさないための対処法を探偵目線で解説します。

事件の概要

「おっさん、金ちょうだい」。大阪市内の公園で60代男性に声をかけた少年=当時(17)=は、男性が応じないと見るや顔を殴り、包丁で腰と太ももを刺した。「犯罪とも思っていなかった」。男性に大けがをさせ、強盗殺人未遂罪などに問われた大阪地裁の法廷で、少年はこう供述した。
(中略)
事件が起きたのは令和5年12月15日の午後7時過ぎ。少年は暴行の末にかばんを奪い、財布から現金約1万3千円を抜いた。この日、心待ちにしていた友人との飲み会を前にして金がなく、「何をしてでも用意する」と思い立ったのが動機だった。

引用元:「金ちょうだい」飲み代欲しさに強殺未遂 少年に道を誤らせた母親の「正論コントロール」 – 産経ニュース

「正論コントロール」が生まれた背景とは

今回の事件に大きく関わっているのは、母親による少年への「正論コントロール」と言われています。

一見正しい内容を伝えるだけに聞こえる正論が、なぜこのような事態を引き起こすきっかけとなったのでしょうか。

その背景には、少年の家庭環境と「正論」が結びつくことで生じてしまった悪影響がありました。

厳しい教育と暴力に板挟みの家庭環境

今回の少年による強盗殺人未遂事件が発生した背景には、家庭環境の問題が大きく関わっていると見られています。

少年の家庭はいわゆる教育熱心と呼ばれる環境で、幼稚園の時点で英才教育を施されたということからも意欲の高さが伺えます。

しかし、その傍らで両親の喧嘩は絶えず、父親はしつけの名目で少年にも暴力をふるうようになりました。

少年が小学校に上がる頃には母親は仕事をしながら大学院に進学して勉学に励むようになり、少年は深夜まで祖父母宅に預けられるようになりました。

ここから少年の身辺状況は悪化していきます。

非行に走る思春期

少年はだんだん家に置いてあるお金を盗むようになり、中学校に進学してからは不良グループに加入して非行に走るようになりました。

耐えかねた両親は少年を児童福祉施設に預けるも、中学卒業後には新しいグループを立ち上げて喧嘩を続け、ついには少年院に入ることになりました。

他にも、大阪・ミナミで客引きの仕事をしていた際にも「半グレ」や暴力団組員との関係を持ち、暴力団同士の抗争にも参加していたと言われています。

ここまで非行が悪化した背景にあるとされるのが、「正論コントロール」です。

「正論」だけで間違いを断じてしまう危険性

「正論」とは道理にかなった正しい意見・論理のことですが、確かに正しい道理を伝える狙いがあったとしても、使い方によっては悪影響につながってしまうこともあります。

なぜ「正論コントロール」が生まれてしまうのか、解説していきます。

反論できない「正論」による意見の封殺

今回の事件の主犯である少年とその家族の心理鑑定を行なった臨床心理士曰く、非行に走った原因には母親への悲しみ・恨み・報復があったとのことです。

子どもの非行には、親へのSOSのサインが含まれていることがあり、頭ごなしに過ちを否定するのではなく過ちを犯してしまった理由に向き合うことが重要と言われています。

しかし、少年の母親は少年が過ちに行き着いた理由に向き合うことなく、犯してしまった過ちの否定のみを行なってしまいました。

間違いを犯した事実は否定のしようがないため、「正論」をぶつけられると反論することができません

その結果、心のSOSとして行なった非行に込められたメッセージは受け取ってもらえないため、「助けを求めても意味がない」という諦めの感情が芽生えてしまいます。

今回の事件の被告となった少年は、母親からの正論を受けて「ものごとを考えるのをやめた」と答えています。

事件の引き金も「正論コントロール」

少年が強盗殺人未遂事件を引き起こしてしまった直前にも、母親からの「正論」があったといいます。

少年は半グレとの関わりを止めて建設業に就き、仕事で稼いだお金は母親に預けていましたが、手元のお金を使い切って4日ほど水だけの生活をしていました。

お金に困った少年は「働いた分のお金を渡して欲しい」と母親に頼みましたが、母親の返答はまたしても「正論」でした。

「現実を見つめて。遊びたいのはわかるけど、もう大人なんやで」

少年の将来を案じるうえでは何の間違いもない言葉でしたが、少年にとってこの「正論」は拒絶の意味に感じられたのでしょう。

この言葉が伝えられた後に、少年は今回の事件を起こしてしまいました。

「正論コントロール」を起こさないためには

今回の少年の場合、非行の根本的な原因とも言える家庭環境の変化によるストレスに対する反応として非行に走ったと捉えられます。

そのため、犯した間違いに対して「正論」をぶつけることは事態の根本的な解決とならず、むしろ原因の発露を遅らせてしまい、最悪の形で表出してしまったとも言えるでしょう。

このような正論に伴う感情の制御を起こさないためには、何が必要になるのでしょうか。

原因・理由に向き合う

正論自体は論理的な抜け穴のない、いわば正しい言説なのですが、この効き目は起こった事実のみにしか通用しません。

つまり、起きた間違いを否定することはできますが、その根本原因には対処できないのです。

なぜ間違いを犯してしまったのか、その原因はどこにあるのかを本人と共に向き合うことで本当の意味での解決を目指せます。

例えば今回の少年の場合、このような場面で正論を使わない歩み寄りが可能だったと思われます。

  • 家のお金を盗ってしまった
  • 他人と喧嘩してしまった
  • お金が少なくなったから渡して欲しい

それぞれの出来事が起きた際に、起きた事実を頭ごなしに否定するのではなく「どうしてそんな事をしてしまったのか」と語りかける必要があります。

初めは重い扉を開けることはできないかもしれませんが、次第に心を開いて原因について語ってくれるかもしれません。

まずは理由を聞くこと、そのうえでなぜ起こした行動が否定されてしまうのかを説明することが重要になっていきます。

探偵はどう読む?

今回の事件を探偵の視点で見ると、表面的な犯罪行動の裏に潜む深い心理的要因や家庭環境の影響が浮き彫りになります。

少年の「正論コントロール」による抑圧感や、問題の根本原因に向き合わなかった家庭内の対応が、犯罪行動の引き金となった可能性が高いと考えられます。

探偵は、家庭内でのトラブルや心理的な問題を解明する際、行動の背景にある人間関係や環境の変化を徹底的に調査します。

例えば、少年の非行がエスカレートした時期や、その時に母親がどのような態度を取ったかを調べることで、事件の引き金となった要因を明らかにすることができます。

また、未然にトラブルを防ぐためには、家庭内でのコミュニケーションや心理的サポートの重要性を理解し、必要に応じて第三者に相談することが求められます。

探偵は、家庭問題における調査や解決策の提案を通じて、こうした問題を未然に防ぐ手助けをすることが可能です。

事件の背後にある「正論コントロール」のような心理的な支配が疑われる場合、探偵が調査を通じて事実を整理し、関係者の行動や発言の意図を明らかにする ことで、問題解決への第一歩を踏み出すことができます。

監修者・執筆者 / 山内

1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。監修者・執筆者一覧へ

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