
「いつも自宅近くの公園で待ち伏せしている人がいる」「知らない番号から毎日無言電話がかかってくる」
上記は、法的措置の対象となる可能性が高い、つきまとい行為です。
しかし、犯人が特定できていなければ、警察へ相談しても警告や禁止命令は出してもらえません。
本記事では、犯人を特定する方法や、執拗な接触被害にあった際に取るべき対処法などを解説します。
つきまとい被害の相談先もご紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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はじめに、あなたが受けている被害が法的にどのような扱いになるのかを明確にしましょう。
つきまといを規制する2つの法制度の定義と、処罰対象となる要件を本章で解説していきます。
つきまといを取り締まる法制度は、ストーカー規制法と迷惑防止条例の2つです。
これらは、規制する行為の内容と範囲が異なります。
ストーカー規制法が規制対象とするのは、特定の相手への恋愛感情や好意、またはそれがかなわなかったことに対するうらみの感情を充足させるために行われるつきまといです。
この法律で規制対象となるのは、以下の8つです。
上記に加えて2021年の法改正により、相手の承諾なくGPS機器等を用いて位置情報を取得する行為や、相手の所持品等にGPS機器等を取り付ける行為なども規制対象となりました。
迷惑防止条例では、正当な理由がないにもかかわらず、うらみやねたみといった悪意の感情を充足させる目的で行われる、一連の迷惑行為を規制しています。
(※都道府県により名称や内容は異なります)
恋愛感情とは無関係に、悪意の感情にもとづく執拗な接触を広く禁止しているのが、この条例の特徴です。
なお、禁止されているのは、ストーカー規制法で定められている内容と同じです。
ストーカー規制法にもとづき処罰対象となるためには、これから述べる3つの要件をすべて満たしている必要があります。
前提として、その行為が特定の動機に裏付けられていることが必須です。
これは、恋愛感情や好意、またはそれらがかなわなかったことに対するうらみが根底にある場合に限られます。
次に、規制対象となる執拗な接触やGPS機器等の利用が、反復して行われていることが必要です。
反復性とは、同一の行為が複数回繰り返されることを指します。
例えば、元恋人と別れてから毎日しつこく復縁を迫るDMが送られてくる場合は、反復性があると言えます。
一方、別れてから一度だけ復縁を迫るDMが送られてきた場合は対象外です。
最後に、その行為により被害者が身の安全や行動の自由などに不安を感じている状態であることも必要です。
これらの要件がそろうことで処罰対象となり、警察による逮捕や送検などが可能になります。
なお、一度きりであっても、動機が恋愛感情に起因するものかつ被害者が不安を感じている場合で、反復の可能性があると認められるときは警察は加害者に対して警告を出せます。
※参考:e-GOV法令検索|ストーカー行為等の規制等に関する法律
つきまといが、ストーカー規制法と迷惑防止条例のどちらに該当するのかは、動機によって異なります。
| 主な動機 | 適用される法制度 |
| 恋愛感情またはそのうらみ | ストーカー規制法 |
| うらみやねたみなどの悪意の感情 | 迷惑防止条例 |
例えば、好意を持っている元恋人に何度も無言電話をする行為はストーカー規制法、職場の同僚への個人的なうらみを晴らすために何度も無言電話をする行為は迷惑条例が適用されます。

ここでは、つきまとい被害にあったときに取るべき対処法と避けるべき行動を解説します。
あなたの身の安全の確保やつきまといの証拠を残すために、以下5つの対処法を実行しましょう。
つきまといのほとんどは、被害者の住居周辺で行われるため、戸締まりの徹底は最初に行うべき対策です。
古い鍵の場合はピッキングされる恐れもあり、セキュリティ面を強化しなければ、犯人の侵入を許してしまうこともあります。
玄関や窓の鍵を二重にしたり、補助錠や防犯フィルムを活用したりするなど、対策を強化しましょう。
予期せぬ事態に発展するリスクを避けるため、一人での外出を避けることも重要になります。
一人で外出しているのを見た犯人が、接触してくる危険性があるからです。
犯人と接触すれば、暴力を振るわれたり暴言を吐かれたりする恐れもあります。
特に夜間や人の少ない場所での一人歩きは避け、家族や友人とともに行動するのが賢明です。
あなたの身の安全を守るために、個人情報の管理を徹底することも大切です。
犯人は公開されている個人情報から、あなたの行動や居場所を特定します。
例えば、SNSに行きつけのお店の写真を投稿していれば、それを見た犯人が頻繁にお店に通う可能性があります。
そして、あなたを見つければ、自宅まで尾行される恐れもあるのです。
自分の行動や居場所を把握できる投稿をしている場合は、非公開設定または削除しましょう。
また、待ち伏せやうろつきなど、犯人があなたの自宅を把握していると予測される場合は、郵便物にシュレッダーをかけて情報の漏れを防いでください。
防犯カメラやセンサーの設置は、犯人を心理的に威嚇し、つきまといや侵入を防ぐ効果が期待できます。
防犯カメラの存在が「見られている」というプレッシャーとなり、犯行の繰り返しを防げる可能性があります。
また、玄関や駐車場など、つきまといが行われやすい場所に防犯カメラを設置することで、相手の服装や特徴などを映像に残すことができ、犯人特定につながる証拠をつかめるでしょう。
さらに、自動でライトがつくセンサーの設置により、近隣住民やあなたの家族などに存在を気づかれるリスクが高まるため、犯行の継続を困難にさせることが可能です。
つきまといの被害にあったら、行動パターンを変えてみるのも一手です。
特定の場所での待ち伏せやうろつきなどは、あなたの通勤ルートや帰宅時間などの行動パターンを把握して行っている場合がほとんどです。
例えば、勤務先までのルートの候補をいくつか調べて、しばらくは毎日異なる道で会社へ行く、あえて遠回りして帰宅時間をずらすなど、行動パターンに変化をつけましょう。
あなたの行動パターンが読めなくなれば、待ち伏せやうろつきなどのつきまといをされにくくなります。
次に、つきまといの長期化や悪化を防ぐために、避けるべき4つの行動を解説します。
犯人やその行動に対して、過剰に反応するのは避けてください。
例えば、自宅近くの公園で何度も待ち伏せされているからといって「気持ちが悪いからもう来ないで」や「あなたのせいで外出が怖い」などと、犯人を刺激する言葉をかけるのは危険です。
あなたの反応に楽しさを覚えた犯人が、行動をエスカレートさせる可能性があります。
また、過剰におびえたようなしぐさを見せるのも快楽を与えるため、平常心を装って安全な場所に避難しましょう。
SNSに被害を投稿すると、より深刻なトラブルに発展する可能性があります。
あなたの投稿を見た犯人が逆上して、より悪質な行動を起こすからです。
また、あなたの行動や居場所などの情報を犯人に与えてしまうこともあるため、しばらく更新をストップするのが得策でしょう。
不安や恐怖を覚えるような被害にあえば、すぐにでも連絡先を変えたくなるものです。
しかし、その行動は逆効果になってしまう恐れがあります。
仮に、DMでつきまといを受けていた場合、アカウントを変えることで犯人はあなたとの接点を失います。
すると、焦りや怒りなどの感情から、待ち伏せや住居侵入など、より悪質な行動へと切り替える恐れがあります。
また、犯人とのやり取りはつきまといの証拠にもなるため、連絡先の変更は探偵などの専門家に相談したうえで、適切なタイミングで行ってください。
つきまといをやめさせたいからといって、家族や友人に介入してもらうのは避けましょう。
家族や友人があなたに代わって犯人に注意すると、逆上した犯人の怒りが無関係な第三者にうつる可能性があります。
公的な権限や専門知識を持っていない家族や友人を巻き込んでしまうと、犯人の予測できない行動に対応できず、けがを負うなどの危険性があります。
警察に相談して、法的な対応を依頼するのが得策です。

ここでは、犯人特定のために自力でできることと、プロへの依頼が不可欠な理由を解説します。
犯人を自力で特定する方法は、以下のとおりです。
つきまといには、あなたへの好意の感情やねたみなど、必ず動機があります。
特に、待ち伏せやうろつきなどの行為を行う犯人は、元恋人や元同僚などあなたと過去に接点があった人であるケースが多いです。
まずは、過去に接点のあった人をリストアップしてください。
次に、つきまといの内容(いつ・どこで・何をされたのか)をすべて記録し、保存します。
そして、リストアップした犯人の候補と、つきまといの内容を照らし合わせて、誰が犯人であるか絞り込みます。
しかし自力での犯人特定はここまでが限界であり、これ以上自分で解決しようとするとかえって危険に巻き込まれてしまう可能性が高まります。
次に、自力でつきまといの犯人を特定する危険性と、プロに依頼すべき理由を解説します。
犯人を特定するために相手の自宅周辺をうろつく、SNSアカウントを偽装して個人情報を聞き出すなど、こういった過度な調査行為に走ってしまうとプライバシーの侵害に問われる可能性があります。
自力で犯人を絞り込み、直接接触して罵倒したり、SNSを通じて名指しで被害を公開したりすると、暴行罪や脅迫罪、名誉毀損罪として扱われる恐れがあります。
被害にあっているからといって感情に任せて行動すると、被害者であったはずが、加害者になってしまうのです。
つきまとい被害は、ただでさえ精神的なストレスが大きいものです。
その状態で犯人を特定しようとすれば、二重にストレスがかかります。
また、犯人の特定には時間と体力が必要なため、心身ともに疲弊してしまうでしょう。
安全かつ確実につきまといの犯人を特定したい場合は、探偵に調査を依頼するのがおすすめです

つきまとい被害の相談先は、目的や状況に応じて選ぶのが有効です。
ここでは、被害をどこへ相談するべきか目的別に解説します。
待ち伏せやうろつきなどの執拗な接触により、身の危険を感じている場合は警察に相談しましょう。
「#9110」に電話すれば、専門の相談窓口を案内してもらえます。
なお、身の危険が迫っており、緊急性が高い場合は「110番」してください。
警察に相談すれば、犯人に対して警告や禁止命令を出してもらえます。
精神的損害を受けたり、日常生活に支障が出たりしている場合は、弁護士に相談するべきです。
弁護士はあなたに代わって、刑事告訴や損害賠償請求などの措置を取ってくれます。
また、示談交渉も引き受けてもらえるため、犯人と会わずにつきまとい被害を解決できます。
犯人の見当もつかず証拠もない状況であれば、探偵に相談しましょう。
何もわからない状態では、警察に警告や禁止命令を出してもらうのは難しいため、犯人特定と証拠収集の確保が最優先事項です。
探偵は事件性の有無に関わらず調査することができます。
犯人特定から、つきまといの証拠収集まで一貫して行います。

つきまといの犯人がわからない場合は、探偵に調査を依頼しましょう。
ここでは、探偵に調査を依頼するメリットを解説します。
探偵に調査を依頼すれば、つきまといの犯人を特定できます。
匿名でつきまといをされている場合でも、張り込みや聞き込み、インターネット調査などにより、犯人の氏名や住所などの特定が可能です。
犯人が特定できれば、警察に被害届を提出したり、弁護士に法的措置を依頼することができます。
探偵に調査を依頼すれば、安全かつ確実につきまといの証拠を収集できます。
さらに、慰謝料請求時やストーカー規制法違反の申告時に有利になる調査報告書の作成も可能です。
犯人の情報と被害の証拠を警察へ提出すれば、警告や禁止命令などを出してもらえます。
探偵は調査終了後も、あなたの身の安全を確保するためにどうすれば良いかアドバイスをしてくれます。
例えば、DMでのつきまといに対して、「今後は場所を把握できるような写真や発言を投稿するのは控えた方が良い」などと、専門家の視点からアドバイスを提供してもらえます。
また、防犯カメラやセンサーの適切な設置場所を教えてもらうことも可能です。

「犯人が特定できず警察に相談できない」「証拠がなくてどこへ相談すれば良いのかわからない」など、つきまとい被害にお悩みの方は当事務所にご相談ください。
犯人特定や証拠収集は、探偵の専門分野です。
また、当事務所では弁護士や警察との連携により、つきまとい被害の解決を徹底サポートします。
犯人がわからない、証拠がないなどの理由でつきまといを放置すると、深刻な犯罪に発展する恐れがあります。
どうか一人で悩まず、お気軽にお問い合わせください。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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