我々は教育を受けることで、生きるために必要な知識の獲得や、価値観の拡大を行なっています。
しかし、人に何かを教えるという意味では「洗脳」も教育と同じではないかという議論が散見されます。
洗脳は人を操る行為ですが、それがなぜ教育と同じだと言われるのでしょうか。
見方を変えれば、実は洗脳の恐怖は身近にも潜んでいることがわかります。
洗脳と教育の意味とそれぞれの違いを解説し、身の回りにある洗脳の危険性をお伝えします。
執筆者 / 藤井 ケイティン 2023年12月31日
1991年生まれ。オンライン上のトラブルや盗聴盗撮などの機械系調査を専門とする。机の上には常時スナックスティックが置いてある(笑)監修者ページ
比較されている「洗脳」と「教育」は、それぞれどのような意味合いで使われる言葉なのでしょうか。
「洗脳」「教育」両方の定義を解説します。
洗脳とは、人の信念や行動を強制的に変えてしまうことです。
本人の意思を考慮せず、洗脳する側に都合の良い動きをさせようとします。
洗脳の手法は、大きく分けて以下の2つに分けられます。
脅迫・恐怖・孤立感・不安感などによる、精神を圧迫する行為
暴力や拷問などを用いて、人の意思や行動をコントロールする行為
どちらの手法であっても、他人を操ろうとする行為は洗脳に含まれます。
同じような言葉で「マインドコントロール」がありますが、こちらは物理的圧力は用いずに心を操ることに特化していると区別されています。
教育とは、人の知識・技能・価値観などを向上させる行為全般を指します。
1人の人間を自立させることで、社会全体の発展への寄与を目指します。
社会はたくさんの人間が集まることで成り立つもの。
疑似的な社会のなかで生活する意識を養うために、学校教育が存在します。
社会の一員として最低限生きる方法を教えるのが義務教育で、その後は専門的な知識や価値観を広げるための専門教育に変わります。
教育が行なわれるのは学校だけでなく、家庭内や生活する地域、職場の中などさまざま。
人が学びを得られる場所は、どこも教育の場といえるかもしれません。
昔から「教育は洗脳なのではないか?」「洗脳と教育の違いは?」と、たくさんの議論がなされてきました。
暴力で思想を強制的に変える行為を洗脳と書きましたが、暴力的でなくとも、強制的に思想を変えて同じ発想にさせる、相手を完全に支配することを洗脳と呼ぶケースもあります。
この2つには決定的に違う部分があります。
それは、「考える力を奪う」のか「自ら考えられるようにする」です。
暴力的かつ強制的に思考を変化させること。思想や言動などを本人の意思とは関係なく変化させる。考える力を奪う行為。
そして、一方的に考えや行動を洗脳によって変えられてしまうと、自分の意思とは違う行動や言動を見せるようになっていきます。
家庭や学校で行われるもので知識と人間性を教え・育むこと。知識や技術などを授けること。自ら考える力や能力を育てる。
本来教育とは、個人が考える力を育てるのが目的です。
興味を持ち、深く掘り下げて考える、それが教育の本来の姿だと思います。
では、なぜ「洗脳」と「教育」が同一視されているのでしょうか?
それは、日本の教育方針にあります。
現代の教育はカリキュラムが決まっており、自由度に乏しく、選択肢があまりないとも言えます。
能動的であるべき教育の現場が、自分の興味あるなしに関わらず言って方向に定められ、ある一定の点数を取らないといけないと決められています。
受動的だと押し付けられているという感覚が強くなり、洗脳色が強くなります。
これが洗脳と教育が同一視される一因になっていることは間違いないでしょう。
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洗脳を受けてしまった場合、被害者にはどのような変化がもたらされるのでしょうか。
洗脳による影響はとても大きく、その範囲は人生の大部分にまでおよぶことも。
考えられる洗脳の影響について紹介します。
洗脳を行なう人の目的は、ターゲットを意のままに操ること。
自分の意思を表現することは許されず、ただ洗脳加害者に都合のいいように動くことを求められます。
求められるままの行動ばかりを続けて、体調や金銭状況が悪化することもあるでしょう。
それを自覚してもなお、言うことを聞こうとする思考が存在し続けるため、簡単に洗脳から脱することはできません。
現状を変える必要性を自覚していても、行動になかなか移せないのが洗脳の恐ろしさです。
洗脳によって、以前まで持ち合わせていた価値観や趣味趣向も簡単に変えられてしまいます。
派手な服装を好んでいた人が、急に地味で質素な服装に変わるというのはよくある話です。
このような急激な感性の変化も、洗脳によって簡単にできてしまいます。
価値観が変えられるということは、持ち合わせていた個性が消されるのと同じ。
1人の自立した人間として生きることを否定するのが、洗脳の悪影響です。
洗脳は、意図して行なわれる場合と結果的に洗脳状態になっている場合の2つが存在します。
特に利益を得るために洗脳を行なう団体は、洗脳のノウハウを知り尽くしている場合が多いです。
洗脳を仕掛けてくる存在について理解して、警戒を強めておきましょう。
洗脳を行なう存在として有名なのが、カルト宗教です。
世の中に数多くある宗教のなかでも、熱狂的な信者が集まっているものをカルト宗教と定義します。
カルト宗教は、崇拝対象や教義の徹底的な信仰を求めます。
信仰が足りないと判断した信者に対しては、より信仰を深めるように暴力の行使も厭わない特徴も。
身体的・精神的に追い詰めて、教団の教えを信じるしかない状況を作り上げます。
悪徳商法でも、洗脳状態にすることでお金を払わせるノウハウが存在しています。
洗脳の手法を用いることで有名なのは、霊感商法とマルチ商法です。
霊感商法とは、幽霊など目に見えない超常的な存在の力を信じ込ませて、何でもない普通の壺や数珠などを高額で売りつける詐欺手法です。
ただの壺を特別なものと信じ込ませるまでの過程には、洗脳の存在があります。
主な手法としては超常的な存在を匂わせての脅しで、まず最初に洗脳者が本当に特別な力を持っているかのような演出を施します。
自らの特別な力を示したうえで、身に不幸や災いが近付いている脅し文句を伝えます。
被害者は相手が本当に特別な力があると錯覚しているため、言うことを簡単に聞いてしまいます。
マルチ商法とは、商品を購入した人がまた別の人に商品を売っていく商法で、法律で規制されています。
同じような商法として「ねずみ講」がありますが、両者には違いがあります。
ねずみ講は講演会・セミナーへの参加料が収入源で、マルチ商法は商品を販売した利益が収入になるという特徴を覚えておきましょう。
もし誰かから商品の購入を勧められ、購入したあとに「商品を何人かに売れば利益になる」というような話をされた場合はマルチ商法です。
儲けたい欲に取りつかれて正常な判断ができなくなり、多くの被害を広げてしまう様子はまさしく「洗脳」状態といえるでしょう。
家庭内暴力(DV)や虐待は、まさしく暴力や精神的圧力を使って相手を支配し、思い通りにさせようとする洗脳行為です。
特に力で相手を制圧する行為は、被害者に抵抗の余地がない無力感を与えるもの。
洗脳の意図の有無にかかわらず、強権的な態度や行動で人を従わせようとする行為には最大限の警戒を払いましょう。
長時間労働や少ない休日、薄給で従業員を働かせるブラック企業も、従業員を囲い込むために洗脳の手法を用いています。
過酷な環境下で働かせながらも、ねぎらいの言葉をかけたりわずかながらのボーナスを与えることで、達成感や誰かに必要とされている充実感を与えます。
このように組織に貢献すること自体に満足感を覚えるように仕向け、会社のために動くことが幸せだと感じさせるのです。
しかし、労働に時間を使いすぎて自己実現が果たせなければ、ちゃんとした人生を歩めているとはいえません。
もし平均よりも少ない給料や休日、および多すぎる残業に身を置いているなら、一度立ち止まって考え直してみましょう。
世の中には、洗脳被害を「自己意識がない弱い人が受けるもの」とする乱暴な論調も存在します。
しかし、はたして洗脳被害は一部の人だけが受けるものなのでしょうか。
結論からいえば、洗脳にかかる可能性は誰にでも存在します。
確かに、洗脳にかかりやすい人の傾向というものはあるといえるでしょう。
しかしこれはあくまでも傾向でしかありません。
洗脳される際は精神的に安定できない状況に置かれる上に、暴力や暴言などの物理的・精神的な圧力を与えられるものです。
このような状況で平常心を保ち続けるのは至難の業ですし、どれだけの人が耐え続けられるでしょうか。
洗脳を防ぐためには、まず洗脳される状況に身を置かないことが重要です。
洗脳の手口は、段階を踏んで進行していきます。
どのような段階で洗脳が進むか、手口を把握しておくべきでしょう。
洗脳を防ぐためには、できるだけ早く違和感に気付くことが重要です。
「こんなに上手い儲け話があるのか」「そんな特別な力が実在するのか」と伝えられる話には疑問を持つようにしましょう。
最も重要なのは、自分の意思を介在させる余地がある選択なのかどうか考えることです。
人は誰もが、自分の意思のままに生きる権利を持ち合わせています。
自分の選択肢を広げるために、人は学ぼうとします。
知識を自分のために与えられているのか、誰かのために仕込まれているのかの見極めが必要になるでしょう。
自分のための学びであるかどうかで、洗脳と教育を区別しましょう。
自分や周囲の人が誰かのために動かされていると感じ、「もしかしたら洗脳かも」と思うことがあるかもしれません。
そんなときは、お気軽に当探偵事務所にご相談ください。
洗脳の加害者・被害者の身辺を調査し、本当に洗脳があるかの事実確認と証拠確保を行ないます。
もし疑わしいできごとが見つかれば、被害者が洗脳から脱するためのサポートも可能です。
洗脳から脱したあとでも、元の生活を問題なく送れるまで手助けいたします。
少しでも洗脳の気配を感じたら、お気軽に電話・メール・LINEからご連絡ください。
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