「霊感商法」というものをご存知でしょうか。
霊や先祖の因縁など目に見えない存在について話して、高額な商品や祈祷にお金を使わせる商法です。
一昔前までは宗教団体などが大々的に展開し、取り締まりが進んだもののまだ被害は存在しています。
また、霊感商法の魔の手は生活のどこから伸びてくるかわからないため、対処法を頭に入れておく必要があります。
クーリングオフなど公的な制度もありますが、相手の正体を突き止めて対処したい場合は探偵にご相談ください。
この記事では、霊感商法の種類や手口、対処法をご紹介します。
霊感商法とは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
その特徴や、似たような被害があるスピリチュアル商法との違い、実際の事件について紹介します。
霊感商法で用いられるのは、幽霊や先祖の因縁といった、いわゆる目に見えない「超常的な存在」です。
今現在起きているトラブルなどを「幽霊のしわざ」「先祖代々続く恨みの影響」と見ることのできない要素が原因として、解決の為に高額な商品を買わせます。
しかし、そのトラブルと超常的存在の因果関係は誰も示すことができません。
もし証拠と思われるものを出してきても、ほぼ科学的根拠に欠けています。
それでも、脅しのような言い回しや雰囲気作りによって、購入しなければならない状況にさせられることも。
入念な根回しにより、多額の金銭被害を受ける事例が相次いでいます。
同じように目に見えない存在を扱う悪徳商法として、スピリチュアル商法が挙げられます。
どちらも人の不安感につけこんでお金を使わせるという手口は共通です。
しかし、霊感商法の特徴としては「今より状況が悪くなる」といった脅し文句を使う点があります。
対して、スピリチュアル商法は脅しは用いず「今よりもっと良くなる」とプラスになる言葉を伝えて興味関心を引く手法。
不幸によって購入意欲を煽るのが霊感商法、幸福で煽るのがスピリチュアル商法と区別しましょう。
昔は霊感商法による法規制は存在しておらず、悪徳な手法で暴利を得る手口が相次いでいました。
このような事件があったからこそ、現在の法規制まで発展したともいえます。
ただ、まだ同様の手口がなくなったわけではありませんので、過去の事例を参考にしておきましょう。
霊感商法が有名だったのは、旧統一教会(現:世界平和統一家庭連合)です。
旧統一教会の霊感商法は1980年代に社会問題となり、霊感商法対策が広まるきっかけとなったものです。
2022年の安倍元首相殺害事件でも、犯人の動機に旧統一教会が関わっていることから、再び社会問題化しました。
霊感商法の主な内容は、国会の質問状のなかにも示されています。
街頭あるいは戸別訪問で手相をみてあげるなどと近づき、人の弱味につけ込んで短命とか離婚の相があるなどと告げて不安に陥れ、家系図を書かせて「あなたの不幸は何代か前の先祖に因縁。これを絶つには出家するか、血と汗と涙の結晶であるお金をなげうち開運の壼をさずかるか」などと印鑑や壼、多宝塔などを法外な値段で売りつける霊感商法が大きな社会問題になつている。
この商法は、商品の販売目的を隠して消費者に近づくこと、軟禁状態にして数人で取り囲んで脅しすかして判断能力を失わせること、放心状態となつた者に神がかりで救済のみちを説き商品を購入させること、また原価の十倍から五百倍にも及ぶ暴利販売を行つていることなど社会通念上許されない不法行為を行つている。
(引用:霊感商法に関する質問主意書)
霊感商法が拡大した1980年代に、問題となったのが明覚寺グループによる霊視商法です。
1984年に千葉県野田市に水子菩薩を扱う販売会社を設立、一方で京都の真言宗醍醐派の寺に通い1985年に修験道教師となり、1986年には剃髪して得度を受け僧侶となりました。1987年に醍醐寺の末寺として茨城県太子町に宗教法人「大覚寺」を設立し、「霊視商法」を始めました。
それは、3,000円で霊視するといってチラシで人を集め、来た人には『水子の霊が取り付いているから、家族が不幸になる』、『水子を供養するために百万円払いなさい』などと脅して供養料をせしめるやり方でした。供養料は最低でも1回65万円、多いときは数百万円にも及んだといいます。
(引用:解散命令を受けた明覚寺の事件とは – 日税ジャーナルオンライン)
霊視により不安を煽り、高額な料金を請求する手法です。
1996年に首謀者と僧侶ら併せて11人が逮捕され、2002年に明覚寺グループは解散命令を出されました。
しかし、今後同様の手口を隠れて行なう存在が現れないとも言い切れません。
具体的に霊感商法ではどのような手口が用いられるのでしょうか。
情報を入れておくことで、もし被害に巻き込まれても早めに対処可能です。
手口として使われる手法を頭に入れておきましょう。
霊感商法で買わされる壺や数珠などの道具は、一つ数百万円を超える場合もあり高額です。
このような高額商品を購入させるために、強制力を感じさせる言い回しが使われます。
代表的なのが、「商品を買わないと状況が悪くなる」という脅しです。
下記のような言葉を伝えられることで、商品を買わなければいけないと思わせられます。
はたから聞けば荒唐無稽に聞こえますが、後述するような方法を使って言説を信じさせようとします。
霊感商法で伝えられる話は、普通の状態で聞いたら信用できない人がほとんどです。
そのため、長時間かけて話を続けることで、聞いている側の体力を消耗させていきます。
時間が経てば集中力も削られ、終わりの見えない話に「商品を買えば話が終わる」という思考に行き着きがち。
長引く話を終わらせるために、高額商品を支払ってしまうのは意外と多いです。
現状を確認するための鑑定や、悪化を防ぐためと称した祈祷を高額で行なうケースがあります。
こうした鑑定には論理的根拠が乏しく、祈祷についてもその効果を科学的に検証するのは難しいです。
そのため、効果の不確かなものに高額な金銭を支払ってしまう被害が生じてしまいます。
また、良くなったと言われたら良くなったと感じてしまう「プラシーボ効果」の影響で、効果があったと勘違いしてしまうことも。
非科学的な言葉には耳を傾けないように意識しましょう。
特別な効果を謳った壺・数珠などのアイテムを数百万円で売りつけるのは、霊感商法の代表的な被害です。
時間をかけた説明や脅しによって、まるで値段に見合った効果があるように錯覚してしまいます。
しかし、実際に高額アイテムを購入しても、何か変化が起きるわけではありません。
残るのは高額の負債とアイテムだけであり、この状況になって初めて被害者は損害を自覚するのです。
荒唐無稽な話が展開される霊感商法に、なぜ騙される人がいるのでしょうか。
霊感商法に騙されてしまう人には、共通する傾向があると言われています。
自分がこの傾向にあてはまっていないか、確認しましょう。
霊感商法を行なう人は、商品を買わせようと必死です。
大きな熱量を持って売りつけてくるため、態度だけは真剣そのもの。
そのため、押しの対応に負けて購入してしまう人が出てきてしまいます。
強気の姿勢に押されてしまう傾向のある人は、勢いに負けないように注意しましょう。
元々霊的な存在などの超常現象に強い興味・関心がある人は、霊感商法のセールストークを信じてしまう傾向が強いです。
普通であれば得体の知れない話には警戒を示しますが、超常現象への興味・関心はそうした警戒心を薄れさせてしまいます。
そのため、霊感商法で売られる物品の効果を信じて購入してしまう可能性が高まるでしょう。
趣味趣向は自由ですが、損害を負わないように警戒心を持つ意識が必要です。
心にのしかかる悩み・不安がある場合は、何か状況を変えるような要素を求めてしまいます。
そんななかでいかにも効果がありそうな霊感商法の話を聞けば、まるで今の自分を助けてくれそうだと感じてしまうでしょう。
悩み・不安を抱える状況は、悪意がつけ入る隙を生んでしまいます。
不確かなものに救いを求めると、良いように扱われてしまいかねません。
人から伝えられた言葉に疑いを持たず、すぐに信じてしまう人も霊感商法の被害を受けやすいです。
霊感商法で伝えられる話は現実味がない内容が多く、常識的な考えから外れている部分もあるため信じない人が多い傾向が高いもの。
しかし、言われたことをそのまま受け入れてしまう性格だと、非現実的な話でも真正面から受け止めてしまいます。
そのまま相手の都合のいいように高額商品を購入してしまう場合もあるので、気を付けましょう。
もし霊感商法に遭ったなら、どのように対処すればいいのでしょうか。
話を聞いてお金を払ってから、霊感商法の被害を受けたと気づくパターンが多いです。
被害の事後でも有効な霊感商法の対処法はありますので、ご紹介します。
もし霊感商法によってお金を払ってしまった場合、クーリングオフによって支払ったお金の返金を要求可能です。
特定の取引方法における消費者の契約が一定期間内であれば解除できる制度
これは壺・数珠などの物品購入だけでなく、祈祷や鑑定といった実体を伴わないサービスでも有効です。
期間は契約締結から8日間で、その間に内容証明郵便を相手方の住所にお送りしましょう。
しかし、クーリングオフが有効なのは電話勧誘や訪問販売の場合です。
自分から相手方のいる場所に赴いて結んだ契約は対象外となりますので注意しましょう。
令和5年1月5日から施行された改正消費者契約法では、霊感商法に関する規定が大幅に改定されました。
赤い文字が従来の条文から改正された内容になりますので、ご確認ください。
❶消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、霊感等の特別な能力により、消費者又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、契約を締結することが必要不可欠と告げることにより、困惑し、契約をした場合には、これを取り消すことができます。
❷霊感等の知見を用いた告知による勧誘に対する取消権を、追認することができるときから3年(改正前1年)、契約締結時から10年(改正前5年)の間、行使することが可能です。
(引用:霊感商法等による消費者被害の救済の実効化のための消費者契約法等改正について(チラシ))
また、寄付金に関する規制を設けた「不当寄附勧誘防止法」が施行され、困惑状態で行なった寄付は本人または家族から取り消し申請できるようになりました。
霊感商法をクーリングオフしようとしても、相手方の住所がわからなかったり自分のケースが対象になるか不明な方もいるでしょう。
どのような対処をすればいいかアドバイスが欲しい方は、国民生活センターに連絡しましょう。
それぞれのケースにおける対処について、無料相談を行なっています。
また、各都道府県には管轄の消費生活センターが設置されており、こちらの窓口や電話での相談も可能です。
霊感商法から引き離したとしても、霊感商法を行なった宗教から洗脳されていた場合はまた別のケアが必要になります。
高額なお金を使わされている場合は、ある程度正常な判断能力を失わされていると想定されます。
物品の購入や寄付が、一度だけでなく何度も継続しているなら、洗脳状態にある可能性は高いです。
国民生活センターも対応できるのは金銭問題だけなので、心理面は対応できません。
もし洗脳状態が続いてしまえば、契約は解除できてもまた別の霊感商法の被害を受ける可能性も。
霊感商法の加害者への対処と心理的ケアを同時に行ないたい方は、当探偵事務所にご相談ください。
手がかりから加害者の実態を調査し、他にどのような被害が起きているのかなど悪徳商法の正体を明らかにします。
また、もし洗脳状態にある場合は社会復帰して元の生活に戻れるまでトータルサポートいたします。
まずは、被害状況の詳細な聞き取りを行ないます。
いつ、どこで、どのような経緯で勧誘を受け、どのような物品やサービスを購入したのか、具体的な金額や契約内容などを把握します。
これは、被害の実態を明確にし、今後の調査方針を立てる上で非常に重要です。
次に、加害者側の情報収集を行ないます。加害者の氏名、住所、連絡先はもちろん、組織の実態や背後関係、過去の同様の事例などを調査します。
法人であれば登記情報、代表者情報、関連会社などを調査し、個人であれば過去のトラブルや訴訟歴などを調査することで、組織ぐるみの犯行か、個人の犯行かを見極めます。
また、証拠収集も重要な調査の一つです。取引に関する資料はもちろん、勧誘時の状況を記録した音声データや動画データ、目撃者の証言なども収集します。
特に、洗脳やマインドコントロールの状況を示す証拠は、被害の深刻さを示すうえで重要となります。
さらに、被害者の方の精神的なケアも考慮しながら調査を進めます。
霊感商法は、人の心の弱みに付け込む悪質な商法であり、被害者は精神的に大きなダメージを受けている可能性があります。
探偵は、被害者の心情に配慮しながら、丁寧に聞き取りを行ない、精神的な負担を軽減するように努めます。
これらの調査結果は、報告書としてまとめられ、被害者に提出されます。
報告書は、被害状況、加害者情報、証拠資料などをまとめたもので、今後の交渉や訴訟などの法的措置を取る際の重要な資料となります。
探偵は、弁護士などの専門家と連携しながら、被害者の問題解決をサポートします。
探偵の調査は、単に事実を明らかにするだけでなく、被害者が再び平穏な生活を取り戻すための重要な一歩となるのです。
これまで、当探偵事務所が受けてきた霊感商法に関する相談事例を、ご依頼者の許可を得て掲載いたします。
ご相談される前に、ぜひご一読ください。
母がいつの間にか霊感商法に…
静岡県:男性 40代
離れて暮らす母親がいつの間にか霊感セミナーに通っていて、200万円の壺と30万円の数珠を購入していたとわかりました。
セミナーは毎回4時間ほどと長尺で、書類を見ましたが主催者の住所の記載はなく、会場もいくつかの貸ホールを転々としていて本拠地がどこかわかりません。
また、そのセミナーの案内が度々母親に届くようで、文面には「行かなければ呪縛は解除できない」など脅迫まがいな内容が書かれていました。
行くのを止めようとしても、母親は「あなた達のために行っているの」と聞く耳を持ちません。
お金を取り戻して、母親も元に戻したいです。
探偵さんに相談して、買ってしまった商品については消費生活センターに依頼して契約解除や払い戻し対応を行ないました。
母親を元に戻すには洗脳してきた団体の実態を見せる必要があるとのことで、霊感セミナーの主催者の特定をしてもらいました。
その結果、過去に違法薬物での逮捕歴や反社との深い関係が疑われる人物だとわかりました。
すぐに母親にそのことを伝えて、最初はかたくなに信じませんでしたが、探偵さんにも説明をしてもらって、時間が経つと冷静になって話を聞いてくれました。
その後も継続して探偵さんには様子を見てもらい、だんだん霊感セミナーに通っていたことを後悔するようになっていきました。
まだまだ完全に元通りになるまで時間はかかると思いますが、今後もケアをお願いしたいです。
霊感商法は得体の知れない内容ばかりが伝えられますが、心理状況や聞く人の特性次第では真に受けてしまうこともあります。
結果として高額な商品購入をさせられることもあるので、大きな被害が出る前に対策する必要があります。
物品購入はクーリングオフなどの制度で対処可能ですが、購入に際して洗脳状態にされていたら特別なケアが必要です。
元通りの状態を取り戻すためには、当探偵事務所にご相談ください。
少しでも気になることがあれば、お気軽にご連絡ください。電話・メール・LINEから24時間365日受け付けております。
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監修者・執筆者 / 山内 / 2024年12月26日更新
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。監修者・執筆者一覧へ
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