
近年、新しい人材育成の手法として用いられている、「コーチング」というものをご存じでしょうか。
コーチングとは、コーチする側とコーチングされる側が双方向のコミュニケーションを行い、本人の中の正解を見つけ出す、あるいは導き出すためのものです。
コーチする側は、適切な質問を投げかけながら、本人の力で正解をつかみ取るための手助けをします。
その際、企業が外部から専門家を招く場合もあれば、個人単位でコーチングを行なう人の下で指導を受けるパターンもあります。
まだまだ新しい人材育成の形ということもあり、「怪しい」「うさんくさい」という声も少なくありません。
実際に、コーチングによる洗脳・マインドコントロール被害を受けた事例も報告されています。
本記事では、悪質なコーチングによる洗脳の脅威や、被害を受けてしまったときの適切な対処法、相談先について解説していきます。
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コーチングの定義は、目標達成のためにコーチという専門家が、理想的な実現をサポートする人材育成方法です。
にもかかわらず、コーチングが怪しまれるのはなぜなのでしょうか。
本章では、コーチングが怪しまれる理由と背景について解説していきます。
日本でコーチングを行うコーチには、必要な国家資格が存在しません。
民間の資格はありますが、どれも開業に必須ではなく、誰でもコーチを名乗れてしまうのが現状です。
経験や倫理観が未熟なまま高額サービスを提供する人が混ざりやすく、「当たり外れが大きい」「見分けがつかない」という不信感につながります。
無資格の者が、科学的根拠のない独自のメソッドを「コーチング」と称して提供しているケースが後を絶ちません。
自己啓発ブームやオンライン講座の市場が拡大した結果、コーチングがマーケティング上売りやすい商品として扱われる場面も増えました。
「人生が激変する」「短期間で年収が上がる」「誰でも成功できる」といった強いコピーは集客力がある一方で、実態の伴わない高額講座や、依存関係を生むコミュニティ型ビジネスと結びつくこともあります。
その一部が「洗脳」と表現され、コーチング全体への不信を招いています。
コーチングと同じような人材育成方法に、ティーチングとカウンセリングがあります。
どれも専門家と相談者とのやり取りを行なうことに変わりありませんが、それぞれ異なるものです。
ティーチングとは目標達成に必要な知識を教えるもので、道筋を自分で決めさせるコーチングとは方法論が大きく異なります。
また、コーチングは同じ目線に立ってやり取りするのに対し、どうしても上から下というトップダウン型の教育構造になるのも決定的な違いです。
相談者の中で、具体的にどんな知識やスキルを身に着けたいか明確な時に有効なのがティーチングといえます。
コーチングとカウンセリングは、専門家と相談者が同じ目線に立つという構図は同じです。
しかし、カウンセリングは悩みの解決まで寄り添い続けるもので、目標達成がゴールとなるコーチングとは目的が異なります。
また、傾聴や精神分析を主とするカウンセリングと、対話を主とするコーチングでは、アプローチ方法も違うといえます。

コーチングという行為自体が洗脳やマインドコントロールと直結するわけではないですが、悪質なコーチングによって支配されてしまうケースはあります。
本章では、健全なコーチングと洗脳行為に及んでしまうケースの違いについて、解説していきます。
健全なコーチングの目的は、クライアントが自分で意思決定できる状態、すなわち自立に近づくことです。
一方、洗脳的なアプローチがある場合は、コーチ(あるいは団体)に従い続ける状態をつくることが目的化しがちです。
依存関係を構築し、コーチからの卒業ではなく、継続的な搾取を促します。
健全なコーチングは、適切な問いかけや相手の思考の整理によって、本人の中から結論が立ち上がってくることを重視します。
しかし洗脳を行うための手法は、特定の価値観や信念を「これが正しい」と押し付け、湧き上がってきた疑問や違和感を「あなたの弱さ」として扱いがちです。
結果として本人の判断力が落ち、外部から見ると不自然な決断(高額契約、交友関係の断絶等)につながることがあります。
健全なコーチングには必ず「契約期間」や「卒業(終了)」があります。
目標を達成すれば、コーチの役割は終わるからです。
しかし、洗脳型コーチングに終わりはありません。
次々と新しい高額講座やランクアップを提示し、経済的・精神的に限界が来るまで継続的な搾取を続けるでしょう。

本章では、悪質なコーチが用いる、洗脳・マインドコントロールに近い典型的な手法は、大きくわけて4つあります。
それぞれくわしく説明していきます。
「疑うのはあなた自身に問題があるから」「抵抗しているのは成長したくないからだろう」といった形で、サービス内容への正当な疑問が封じられるケースがあります。
本来、疑問や違和感は確認すべき重要なサインですが、それを人格の問題にすり替えられると、冷静な判断ができなくなります。
家族や友人、専門家の意見を「理解の浅い人」「あなたを引き戻す存在」として遠ざけさせるのは危険信号です。
比較検討や第三者の視点が奪われると、コミュニティの内部だけが現実になり、依存関係が深まります。
「このチャンスを逃すと一生変われない」「今のままでは不幸になる」といった、恐怖心や不安を煽る言葉で契約を迫ります。
正常な判断力を奪い、感情的に高ぶった状態で高額な決済をさせるのは、洗脳の常套手段です。
最初に徹底的に現在の自分を否定させ、どん底まで自尊心を低下させます。
その直後に「私ならあなたを救える」と唯一の救いであるかのように振る舞うことで、強烈な信頼関係と依存関係を形成させるのです。

コーチングで洗脳・マインドコントロールをもくろむ人は、相談者の自主性を否定する傾向にあります。
そこを見抜けずに悪徳コーチの指導を受け入れると、洗脳被害を受ける可能性もあるでしょう。
また、洗脳被害は「意志が弱い人」だけに起こるものではありません。
状況や心理状態が重なると、誰にでも起こり得ます。
ここからは、悪徳なコーチングによる洗脳被害に遭ってしまう人の特徴について紹介していきます。
キャリア、夫婦関係、将来不安など、正解が一つではない悩みほど「断言してくれる人」「道を示してくれる場」に引き寄せられやすくなります。
救いを求めた結果、助言をそのまま素直に受け入れ、洗脳状態になることも十分あり得るでしょう。
不安で前が見えない状況でも、コーチングの「道を見つけ出すための助言」という本質は見失わないようにしましょう。
今の仕事に疲れていたり、ストレスから解放されたいという思いが強い状態でコーチングを受けると、心理的に楽だと感じる方向に流れてしまいがちになります。
たくさんのメリットを並べられ、その通りに動いた結果、詐欺や洗脳被害に遭ってしまうことも。
判断力は、疲労や睡眠不足で容易に低下します。
精神的に追い詰められていると、強い言葉や単純な成功ストーリーに救われた気持ちになり、リスクを見落としやすくなるでしょう。
目指していた夢や進路を諦めて、新しい道を進もうとする人も注意が必要です。
失敗体験が強いと、「もう二度と失敗したくない」という気持ちが強くなります。
また、心機一転した状況は、新しく学ぶことをすべて吸収しようとする思いが強くなるもの。
しかしこのタイミングは、自分に不利益を被る内容でも何の疑いもなく受け入れてしまいやすいです。
気づいたときには洗脳やマインドコントロールの術中にハマっている可能性もあるため、警戒心を持つことが必要になります。
「今置かれている現状を変えたい」という思いはとても良いものですが、焦りすぎは禁物です。
情報の取捨選択をせずに次々取り入れてしまうと、目標に必要のない情報まで鵜呑みにしてしまいがちになります。
それが洗脳・マインドコントロール目的で刷り込まれた情報であるなら、被害が大きくなる可能性が高まります。
子育ての一区切り、退職、休職、転居などで時間が増えると、居場所や目的を求める気持ちが強まり、コミュニティへの依存が起きやすくなることがあります。
そのようなタイミングで怪しいコーチングを受けると、間違った方向に進んでしまうことも。
洗脳による大きな被害を受けて引き返せなくなる前に、まずは自分がどうしたいか明確にして何が必要なのか見定めましょう。

初めてコーチングを受ける場合だと、健全なものと悪質なものの見分け方がわからないことがあります。
しかし、悪質なコーチングを見抜くためのポイントはいくつか存在します。
中でも特徴的なポイントについて言及していきます。
コーチングで扱われるテーマについては、それぞれのコーチで得手不得手があります。
自分が目指す方向に沿ったコーチに就いてもらえば、効果的なコーチングが行なえるでしょう。
しかし、下記のような抽象度の高いテーマを扱うコーチングは怪しいと言わざるをえません。
健全なサービスは、少なくとも「何をどう進め、いつ何をもって終了とするか」という説明が可能なため、抽象度の高いワードには気を付けましょう。
個別セッションより先に、サロン・合宿・コミュニティへの参加が前提になっていたり、外部と切り離された環境を作ろうとする場合は警戒しましょう。
「ここにいる人だけが理解者」という構造は依存心を強めます。
「今日決めれば割引」「枠が埋まる」「今決断できる人だけが変われる」など、考える時間を与えない売り方は危険です。
健全な提供者ほど、持ち帰り・比較検討・契約書確認を止めません。
にもかかわらず、顧客に執着する動きが見られる場合は、一人たりとも逃したくない事情があるのと疑うことが必要になります。
紹介インセンティブ自体が即NGとは限りませんが、紹介が主目的化している場合は実質的に販売組織に近くなります。
「受講生が次の受講生を連れてくる構造」になっていないか、報酬体系や勧誘ノルマの有無を確認することが大切です。
肩書き・著名人との写真・豪華な実績演出ばかりが強調され、契約条件や提供範囲の説明が薄い場合は注意が必要です。
権威の演出で判断力を鈍らせ、内容の検証を避けさせる狙いが潜んでいることがあります。

すでに悪質なコーチングによって被害を受けている場合、迅速な対応が求められます。
状況により適切な相談先は変わるため、それぞれくわしく解説していきます。
監禁、暴力、脅迫、金品の強要、身分証の取り上げなどがある場合は、身の安全確保が最優先です。
可能なら第三者と一緒に行動し、記録(録音・メッセージ・写真)を残した上で警察に相談してください。
高額契約、解約妨害、返金拒否、虚偽説明が疑われる場合は、弁護士への相談が最適です。
契約書、決済履歴、勧誘時の説明資料、やり取りのログを整理して相談すると、今後の動きがスムーズになります。
家族が深く傾倒していて状況が見えない、外部からの接触で悪化しそう、勧誘の実態を把握したい――、といったケースでは、事実確認や証拠収集が重要になります。
探偵事務所は、行動実態の調査や関係者の特定など証拠収集能力が強みです。

これまで当探偵事務所が受けてきた、コーチングによる洗脳・マインドコントロール被害の相談事例を、ご紹介します。
実際にご相談を検討される際など、ご参考にしてください。
※調査事例はプライバシー保護の観点により、一部変更しています。
大学に通うために一人暮らしする息子が、就活の時期に入ったので状況はどうか確認の連絡を入れました。
すると「今コーチングを受けていて、仲間と起業するから就活しない」という返事がありました。
コーチングの怪しい噂なども聞いていたため、一気に不安になりました。
息子は「すごい人を成功させた人だから大丈夫」と言っていますが、もし変な教材を高額で買わされたりしたらと思うと夜も眠れません。
はじめに息子さんの身辺調査を行いました。
その結果、コーチングは週一で行われており、家や大学から離れた繁華街に通っていることが判明しました。
その足取りをたどって、コーチングを行っている講師の経歴を洗い出し、過去に詐欺被害で起訴されていたことや、現在の名前は偽名だということが明らかになりました。
ご依頼者は当探偵事務所からお渡しした調査報告書をもとに、息子さんを説得。
真実を目にした彼は、徐々に洗脳状態から解放されつつあるとのことです。
メンタル不調で休職後に退職した娘が、「自己否定を手放すセッション」に通い始めました。
当初は回復のきっかけに見えたものの、次第に「この先生に出会えたのは運命」「反対する人は波動が低い」といった言動が増加。
また、追加講座・合宿・物販など支出が膨らみ、解約を示唆すると強い引き止めや罪悪感を刺激する連絡が続くようになったようです。
当探偵事務所は、契約関係の整理、勧誘メッセージの保全、運営元情報の確認などを行い、家族側が感情的に対立せずに「安全確保→情報整理」の順で動けるよう支援しました。
調査の結果、他の受講者への過剰な囲い込みの事実や、金銭的搾取の実態が明らかになりました。
ただし、娘さんの洗脳状態は深刻なものだったため、無理やり引きはがすのではなく、事実の提示や適切なケアなど、長期的サポートを行いました。
現在はコーチングを行っていた組織との依存関係が薄れ、一歩ずつ自立への道に進んでいるとのことです。

コーチングは適切な内容を受講できれば、目標達成に向けた大きな支えになるでしょう。
しかし、将来に対する心の不安につけ込もうとする洗脳・マインドコントロール被害の可能性は否定できません。
もし悪徳コーチングの魔の手にかかれば、多額の金銭トラブルにまで発展するかもしれません。
大きな損害を被る前に、担当となるコーチの実態を調べ、信頼に値するか調べてみるのがおすすめです。
また、既に被害の可能性がある場合は、速やかな対処が求められます。
当探偵事務所は、疑いのあるコーチの実態を調べ、洗脳・マインドコントロール被害の未然防止が可能です。
もし現在、コーチングについて何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
電話・メール・LINEから24時間365日受け付けております。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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