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今回は『ネット上の誹謗中傷事例と法的な対処法』というタイトルでお話ししたいと思います。匿名で他人を誹謗中傷している?誰がなんの目的で…についての調査事例を踏まえ詳しく掘り下げてみましょう。
他人を悪く言う、そしることを誹謗(ひぼう)と言います。「陰で他人を誹謗中傷する」など、これら二語が並列して「誹謗中傷」と表現されることがあります。根拠のないことを言いふらして、他人の名誉を傷つけること。「ライバルを中傷して蹴落とす」など、誹謗中傷は他の人のことを悪く言い、その人のことを傷つけることが誹謗中傷と呼称されています。
SNS(ソーシャルネットワークサービス)が普及され、広く知れた昨今では各自のネットリテラシーが問われていますが、異なる環境で異なる生活をしている人が同じコミュニティで会話することによるズレから、思いがけない誹謗中傷や、炎上なども起こり得ます。数か月前にSNSで拡散された有名人が炎上し、誹謗中傷の的になって、その有名人が自殺をする悲しい事件がありました。
人である以上いくら顔の見えないインターネット上であっても、他者を攻撃的な発言で死に追いやってしまったという事実から、現代人のインターネット上の倫理観・モラルの低さが明るみになりました。
誹謗中傷は大人同士の間だけで起こるとは限らず、その証拠に子供間での誹謗中傷もあります。埼玉県である特定の中学生に対して3000件を超える誹謗中傷が匿名掲示板で寄せられました。あまりにも悪質だった為、『発信者情報開示請求』を行い、書き込みをした人達を複数特定しました。
2人は元同級生、もう1人は元同級生の父親が書き込んでいたそうです。あなたはこの出来事を聞いてどう思いますか?自分がつい書き込んでしまったり、自分に対して誹謗中傷が浴びせられるという状況に、知らない間に巻き込まれていませんか?そもそも誹謗中傷はなぜ起こるのでしょう。「気に入らない相手がいるから」ですとか、「出来心で」と、人それぞれ理由はあると思われます。
ただ書き込む事にも責任はあって、不特定多数が見ているインターネットであれば尚更、どんな発言をしても許される訳ではありません。うっかり匿名で書き込んだ事が『相手に特定される』言い換えれば自分が誹謗中傷された際に『相手を特定する事ができる』事を、忘れてはならないのです。
子供の間でも誹謗中傷が相次いでいるという事は、情報に関するリテラシーが児童の間でも欠いているという事です。教育の現場で誹謗中傷などのモラルに関する教育・指導が仮に行き届いていたとしても起こり得る事ですから、根本的に誹謗中傷を社会全般に解決するという事は難しい事であると言えます。
誹謗中傷は、どのような法律に触れるのでしょうか?自分も知らない間に誹謗中傷していないように気をつけておきたいですし、他人の、自分への誹謗中傷に気が付いて対処する事も重要です。下記の法律を一緒に考えてみましょう。
名誉毀損罪(めいよきそんざい)とは、日本の刑法230条に規定される犯罪です。人の名誉を毀損する行為をその内容とし定義づけています。刑法上の名誉毀損罪を構成する場合に民法上の名誉毀損として不法行為になることも多いのですが、これはつまり刑法で扱われる判例が民事として扱われ、刑事責任は問われないケースの事を指しています。公然とある人に関する事柄を摘示し、その人の名誉を毀損した場合に成立されます(刑法230条1項)。法定刑においては3年以下の懲役若しくは禁錮または50万円以下の罰金です。
ネットや現実社会で誹謗中傷が第一に繋がりやすい問題が『名誉棄損』です。名誉棄損による被害者への慰謝料請求も行われた判例が実際にあります。慰謝料請求のおおよその目安は原告が一般人の場合10万~50万円、事業主への慰謝料請求は50万円~100万円と言われています。
侮辱罪(ぶじょくざい)は、事実を摘示しないで、公然と人を侮辱することを内容とする犯罪です(刑法231条)。侮辱罪の法定刑は、拘留又は科料であり、刑法典で規定されている犯罪において、法定刑が最も軽いです。法定刑に拘留・科料しかないことから、幇助犯・教唆犯は処罰されません(刑法64条)。また、犯人隠避罪(刑法103条)の客体となる犯人にも当たらないとされています。個人のプライバシーに関する情報をネット掲示板やホームページ、電子メールなどで不特定多数の人に流すなどをしても侮辱罪が成立します。
事実の情報を提示した上で著しく社会的評価を低下させた場合が「名誉毀損」です。また事実の情報を伴わず単に相手の人や事業等を否定し社会的評価を低下させた場合が「侮辱」にあたるとされています。
被告が原告になりすましてインターネット上の掲示板に第三者を罵倒するような投稿等を行った。原告の名誉権,プライバシー権,肖像権及びアイデンティティ権を侵害されたとして被告に対して不法行為に基づき損害賠償請求を行った。裁判所は慰謝料60万円の支払いと、弁護士費用(特定手続き)、弁護士費用(本訴訟)を被告に命じた。
解雇された従業員が大型掲示板2ちゃんねる内に、「鬼☆」というハンドルネームを使って「不当解雇」というスレッドを作成しました。投稿は「業務は多忙で休日もほとんどなく」「内容は朝7時から夜中の2時3時もざらであった」「いきなりの解雇通知である。納得できず、社長に抗議すると懲戒解雇にすると言われ同意書にサインしろと恫喝された」などと書き込んだ事によって、会社のみならず役員個人の批判をしたとみなされ、会社および会社経営者から信用名誉の毀損を理由に、損害賠償が請求された。裁判官は「解雇自体に違法性はない」とし、有罪判決を言い渡した。そして元従業員に対し、会社に100万円、社長、専務にそれぞれ30万円の損害賠償命令をくだした。
「(知人男性の名前)は最低最悪の人間です。存在価値がありません。」といった中傷文が書かれたA4サイズの用紙が、複数の女子トイレに貼り付けられていたところ、2017年5月30日にそのビラを見つけた病院関係者が被害者の男性に連絡。 連絡を受けた男性は、すぐさま警察署に相談し、「紙を見て怖くなった」という思いを伝えて被害届を提出。被害者の男性から被害届を受理した警察は、名誉毀損容疑で捜査を開始した。しばらくして防犯カメラの映像から奈良県の公立病院に勤めている女性研修医が浮上し、調査の結果、2017年6月4日に名誉毀損の容疑で女性研修医が逮捕された。
寿司に異物が入っていると嘘の情報をSNS上で流して無職の男性が逮捕されました。容疑者は名誉棄損罪で逮捕されましたが、 専門家によると信用毀損罪で逮捕される可能性も大きいとの事です。名誉毀損罪とはまた異なる信用毀損罪とは、虚偽の風説を流布したり偽計を用いたりして、人の信用を毀損したりその業務を妨害したりした際に成立する罪のことで、信用毀損罪が成立すると3年以下の懲役に処されるか、50万円以下の罰金(刑法233条)が科されます。
SNSが自分の意図しないところで炎上することがあります。なるべくなら『ネット上でのモラル』は守った方が良いのですが、軽はずみに言った一言が原因で良くも悪くも炎上され、拡散されてしまいます。これが事実でなければ自分のSNSはデマを拡散したことになります。下記ではSNS上での体験談レポートをまとめました。
ご依頼者様: | 38才/男性 会社員 |
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ご依頼内容: | 誹謗中傷調査 |
ご依頼理由: | インターネット上で自分への誹謗中傷が炎上したため |
調査レポート: | 匿名の元フォロワーからの自分への誹謗中傷ツイートが炎上したため、アカウントの特定を行ってもらいました。 見ているだけで不快になる誹謗中傷が拡散されることにより、私自身の地位や名誉を傷つけるもので、 正直申し上げて迷惑でした。しかし『名誉棄損』で罪に問われることを教えて下さったため、大変ありがたかったです。 誹謗中傷を最初に行ったのは元フォロワーだったということもあってか、とても傷つきましたが、 ファミリーさんには弁護士も紹介していただき、おかげさまで今後の対応がスムーズにいきそうです。 |
SNSが主流のツールになり始めている時点で、一番と言っても過言ではないほどありがちなのは『知らない間に誹謗中傷をしてしまった』ケースかと思います。そのことに比例して『知らない間に誹謗中傷されていた』ケースも多くなってきているのでしょう。下記は他人が誹謗中傷してしまっていたケースです。
ご依頼者様: | 41才/女性 会社員 |
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ご依頼内容: | 誹謗中傷調査 |
ご依頼理由: | SNS上で誹謗中傷されていたため |
調査レポート: | 相手も悪気はなかったのだろうと思いますが、意図しない心もとない発言で大きく傷ついたため、誹謗中傷調査をしていただきました。弁護士に『二度と自分の誹謗中傷をしないように』代理忠告をしていただきましたが、相手はなぜ自分が誹謗中傷をしたと受け取られているのか開き直っている様子で、大変悲しかったです。しかしそういった性格の癖もあるのでしょうか、何度言っても分からない人を相手に事実確認の調査をして証拠まで取ってくれたファミリーや弁護士にはお礼申し上げたいです。 |
別れた相手に恨みを持たれていて、そのことがリベンジポルノといって元交際相手などによる復讐に向かうパターンがあります。今回はその体験談を参考までにお話し致します。
ご依頼者様: | 29才/女性 会社員 |
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ご依頼内容: | リベンジポルノ調査 |
ご依頼理由: | 自分の性的な画像がインターネット上にあげられていたから |
調査レポート: | 自分の付き合っていたころの性的な画像が盗撮されていて、無断でインターネット上にあげられていたことが発覚したので、 調査に踏み切りました。ファミリーさんは親身になって夜間でも相談にのってくれてそれだけでも大分安心したのを覚えています。まさか別れた相手に恨まれていたとは思わなかったので、元カレの仕業であることは考えもしませんでした。 事実確認調査の他、証拠確認、告訴、慰謝料請求など一通り済ませることができ、感謝しています。 |
誹謗中傷に実際に巻き込まれてしまった際の調査を弊社では行っております。弊社で行う調査ではインターネット上の誹謗中傷特定や近隣住民の誹謗中傷被害を記録に残します。
Q
インターネット上の誹謗中傷の調査って発信者情報開示請求をするの?
A
プロバイダ責任制限法第4条に基づく情報開示請求は弁護士がおこないます。インターネット上の誹謗中傷は、故意に拡散されて全てを発見することは難しいとされています。情報開示請求を行うには、誹謗中傷の特定が必要になりそのための調査となります。
Q
発信者情報開示請求の場合、弁護士費用が別途必要になるんじゃないの?
A
弁護士費用は別途かかります。住所氏名の開示訴訟の平均費用は、30万~40万円とされています。探偵が行う所在調査は15万~25万、SNSなどの情報から住所氏名から割り出すことも可能ですが情報次第なので不確定要素が含まれます。
Q
ファミリーセキュリティには専属の弁護士がいるの?
A
顧問弁護士がいます。探偵業務で弁護士が必要となるケースは多いので、一般的に多くのネットトラブルは経験しているかとは思います。ご紹介が必要な方にも対応させて頂いております。
Q
誹謗中傷を特定した場合、名誉棄損で告訴することは可能?
A
人の名誉を毀損した場合、その事実の有無にかかわらず成立します。名誉毀損罪は、公然と事実を適示し、人の名誉を毀損した場合に成立します。「公然」とは、不特定又は多数人が認識しうる状態をいいます。
Q
誹謗中傷があった場合、その文章の削除依頼は誰に言えばいいの?直接SNSのヘルプセンターに言うべき?
A
サイトの管理者へ削除の要請をする方法があります各サイトに用意されている、削除申請用フォームから、誹謗中傷を受けた本人でも削除の要請を行うことができます。
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