
ペイシェントハラスメントとは、医療従事者に対するハラスメントを意味します。
ペイシェントハラスメントは、医療従事者の心身に深刻な影響を与えるだけでなく、医療サービスの質を低下させうる深刻な問題です。
一般にはまだ浸透していないこのハラスメントは、実際の医療現場で頻発しており、医師や看護師、介護士などの医療従事者に大きな負担をかけています。
すべての医療従事者が安心して働くためには、ペイシェントハラスメントの正しい知識を身につけ、組織として対策を実践する必要があります。
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ペイシェントハラスメントとは、医療現場において、患者やその家族が医療従事者に対して行う、暴言、暴力、不当な要求、セクハラなどのハラスメント行為全般を意味します。
前提として、「患者」という治療を受ける正当な権利を持つ人であっても、他人の権利を侵害するような方法や態度で権利を行使してはいけません。
治療中の患者だからといって、医療関係者が患者等による迷惑行為を容認しなければならないことはなく、ペイシェントハラスメントには毅然とした態度で対応する必要があります。

はじめに、ペイシェントハラスメントの具体的な事例をご紹介します。
ペイシェントハラスメントには、
①暴言や暴力を振るうケース
②脅迫・強要をするケース
③業務妨害・不退去のケース
④器物損壊や名誉毀損のケース
⑤わいせつ行為、ストーカーのケース
があります。
患者が医療関係者に対して暴言や暴力を振るうケースです。
診察や治療の内容に不服がある、看護師等からの注意や指示に納得できない、といった理由で、怒鳴ったり、医師や看護師に直接危害を加えたりします。
悪質なケースでは、患者が凶器を持って来院し、医療従事者に重大な傷害を与える場合もあります。
電話使用禁止エリアで患者が通話をしていたため、看護師が注意をしたところ、患者が激昂し、看護師に対して物を投げつけた
方針に納得ができない患者が、医師に再三の説明を求めたため、医師が説明の終了を告げたところ、患者が怒り、医師の胸ぐらをつかんで「殺すぞ」と怒鳴った
患者が突然包丁を持って来院し、「今すぐ主治医と話をさせろ」と要求した
患者が医療従事者に対して、病院の悪評を振りまくなどと脅迫したり、無理やり謝罪させるなどの行為を強要をするケースです。
直接暴力を振るわれるわけではありませんが、医療従事者の精神に深い傷を負わせる悪質なハラスメントです。
診察の待ち時間が長いことに怒った患者が、受付の職員に対して「いつまで待たせるんだ、しばくぞ」などと怒鳴った
患者が看護師に対して「お前の下手な注射のせいで腕が麻痺した。今すぐ土下座で謝罪しなければ、このことを言いふらして病院の評判を下げるぞ」と怒鳴り、看護師を土下座させた
入院患者の家族が夜間の面会を要求したため、決められた時間以外の面会はできないと看護師が断ると、「家族なのに会えないのはおかしい。面会させないなら、職員の質が悪いとインターネットに書き込む」と言った
正当な理由がないのに患者が病院等の施設内に留まり続けたり、長時間に渡って不必要に医療従事者を拘束し、病院等の業務を妨害するケースです。
病院の適正な業務が妨げられ、医療サービスそのものの低下につながりかねないハラスメントです。
窓口に来た患者が、数時間にわたって不合理に説明を求め続け、「医院長が出てくるまで帰らない」と言い、退去を求めても帰らなかった
同じ患者が1日何度も病院に電話をかけてきて、長時間にわたって同じ話を繰り返した
やめるよう求めても応じず、これにより業務が停滞した
入院中の患者に対し、医師が「治療が終わったので退院しましょう」と伝えたところ、激昂して退院を拒絶した。
患者が院内の物や設備を故意に壊すなどのケースや、インターネットなどに病院等の悪評を書き込むなどの行為によって、病院等の名誉を毀損するケースです。
禁煙の個室に入院中の患者が、隠れて繰り返し喫煙し、部屋に煙草の臭いが残った
診察の待ち時間の長さに腹を立てた患者が、待合室にあった置き物を床に落として壊した
診察や治療方法に不満を持った患者が、医師への腹いせに「◯◯医師はヤブ医者で、何度も医療ミスを繰り返している」とSNSに書き込んだ
医療行為中や看護中に、患者が医療従事者の体に触る、セクハラ発言をするなどの性的な嫌がらせをするケースや、患者が医療従事者に好意を持ち、つけ回したり待ち伏せをするなどのストーカー行為をするケースです。
患者の自宅への訪問看護中、患者が看護師の横に座り、太ももを触ってきた
看護師が個室入院中の患者の採血をしていたところ、胸を触られた
治療をきっかけに知った看護師に対して好意を持った患者が、看護師の退勤時間を見計らって、病院出口で待ち伏せするのを繰り返した

ペイシェントハラスメントが生じる背景には、どのような要因があるのでしょうか。
以下、患者側と病院組織側の双方の立場に分けて解説します。
日本の医療現場では患者の権利を尊重し、満足度の高い医療を提供するため、患者ファーストの理念が浸透しています。
このような理念の元、インフォームド・コンセントの徹底、患者への説明責任の重視といった考え方が根付いてきました。
一方で、こうした患者ファーストの理念を重んじすぎると、
「患者の意見は無下にできない」
「患者に身勝手な言動をされても、大目に見なければならない」など、医療従事者が我慢や自己犠牲を強いる場面が生じてしまいます。
このような過度な患者ファーストの体制が、ペイシェントハラスメントの要因になっていると考えられます。
ペイシェントハラスメントの大きな要因として、患者自身が抱える精神的・身体的ストレスや、医療に対する過度な期待や理解不足から生じる不満、医療関係者とのコミュニケーション不足から生まれる誤解などがあるとされています。
また、患者の中には、病気や障害が起因して、精神的に不安定な状態にある場合があり、些細なことで医療関係者に不満をぶつけやすいといった理由もあります。
ペイシェントハラスメントの背景として、病院側に原因がある場合もあります。
患者に対する病状の説明不足、職員の不適切な対応やミスなどが挙げられます。
特に病院における待ち時間の長さが原因で、ペイシェントハラスメントが生じるケースが多く、この点は病院側が解決すべき課題のひとつといえます。
待ち時間や検査時間の短縮のため、IT化に取り組む病院も増えている一方で、未だに総合病院などの多くは待ち時間が長く、患者に負担が大きい現状があります。

ペイシェントハラスメントに対し、医療機関が事前にできる対策はあるのでしょうか。
以下、病院などの医療機関が事前に実践できるペイシェントハラスメントの対策方法をご紹介します。
事前の対策として、ペイシェントハラスメントへの対策マニュアルを作成し、患者と職員の間でトラブルが生じた場合の対応方法を明示することが有効です。
管理者が具体的な管理体制を整えることで、現場の医療関係者の意識の向上にも繋がります。
また、トラブル時の医療関係者の行動が標準化され、いざという時にすべてのスタッフが適切な対応が取れるようになるというメリットもあります。
マニュアルには
といった具体的な対応方法を職員に周知させることが大切です。
また、職員の相談窓口を設置したり、トラブル時の報告体制を整備し、医療スタッフが安心感を持てる環境をあらかじめ作ることも重要でしょう。
患者や利用者に向けて、ペイシェントハラスメントに対する病院の方針を提示しておくことも、事前対策として有効です。
ポスターや文書、ホームページなどを活用しましょう。
視覚的に注意喚起をすることで、患者側の意識改革につながります。
病院の方針として、以下の内容を明記しましょう。
ペイシェントハラスメントが生じたときに備えて、病院内の設備を充実させておくことも、事前対策のひとつです。
ハラスメント行為を記録するためのカメラ、ビデオ、ボイスレコーダーの設置や、録音機能付きの電話を配備するなどの方法が挙げられます。

実際にペイシェントハラスメントが起こったとき、ハラスメントの事実を正確に把握し、記録として残すことが非常に重要になります。
ペイシェントハラスメントの原因究明や、再発防止策の検討をする段階においても、そのハラスメントの状況が正確に記録されていることが必要です。
以下、事後対応として具体的な方法を解説します。
ペイシェントハラスメントの発生時には、近くにいる職員は、落ち着いた毅然とした態度で対応しましょう。
職員の生命・身体に危険がある場合は、安全確保を最優先します。
職員が精神的に被害を受けているケースは、丁寧に事情を聞き取り、心のケアに配慮する必要があります。
その上で、現場を保存、証拠の収集、記録化を行いましょう。
迷惑行為を行った者への対応としては、警察への通告や、損害賠償請求などが挙げられます。
悪質なハラスメント行為に対しては、毅然とした態度で法的な対応も取ることも必要です。
暴言や暴力は、刑法や民法上の名誉毀損・侮辱・傷害などに該当する可能性があるため、法的な対応については弁護士への相談も検討しましょう。
また、こうした法的措置を検討する場合、探偵に証拠収集を依頼することも有効です。

上記のとおり、ペイシェントハラスメント対策において、証拠収集や記録に残すことは非常に重要です。
そのような記録は、ハラスメントの事後対応(事実確認、原因究明、再発防止策の検討)において必要な情報となります。
また、告訴・告発などの捜査機関へのアプローチや、加害者への賠償請求や民事訴訟請求においても、ハラスメントの正確な記録や証拠が必要となります。
しかし、こうしたハラスメントの実態を証明するための証拠を、当事者だけで集めることは容易ではありません。
そこで、探偵による調査を依頼することをお勧めします。
探偵であれば、専門的な調査技術を活用し、写真、映像、音声記録などの形でハラスメントの証拠を迅速に収集することができます。
また、医療従事者の日常業務に支障をきたすことなく、調査を行うことも可能です。

医療従事者が安心・安全に働ける環境を整えるためには、ペイシェントハラスメントへの正しい備えや対応が不可欠です。
探偵による専門的な調査は、証拠収集や加害者の特定をサポートし、スムーズな事後対応を後押しします。
当探偵事務所では、ハラスメント被害に関するさまざまなご相談をお受けしております。
ペイシェントハラスメントでお悩みの方は、まずはご相談だけでも、お気軽にご連絡ください。
ご相談は、お問合せフォーム・電話・メール・LINEにて24時間お受けしています。
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監修者・執筆者 / 山内
1977年生まれ。趣味は筋トレで現在でも現場に出るほど負けん気が強いタイプ。 得意なジャンルは、嫌がらせやストーカーの撃退や対人トラブル。 監修者・執筆者一覧へ
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