被害妄想癖のある人は、「常に誰かに嫌がらせをされている」「誰かが騙そうとしている」「中傷されている」などと思い込み、そのようなことはないと言っても信用しようとしません。
それどころか自分を正当化するばかりなので、なかなか思うようにコミュニケーションをとることができません。
では、もし隣人がそのような被害妄想癖の持ち主で、 ことあるごとに意見が食い違ったり、衝突したりするようなことになったらどうすればいいのでしょうか。
ここでは「被害妄想癖のある隣人とのトラブル対処法」について解説します。
執筆者 / 池田 2023年10月31日 更新
1989年生まれ。知人が嫌がらせ、ストーカー被害に遭い、問題解決を手伝う。蓄積したノウハウを依頼者のために役立てる。実績豊富な探偵として活躍中!監修者ページ
妄想性障害という精神疾患には、下記のようなタイプがあります。
外見は健常者と変わらないので仕事に就くことはできますが、「思い込みが激しいうえにその思い込みを正当化」しようとします。
その結果、職場の同僚から誤解され、衝突やトラブルを起こしたりしがちです。
被害妄想は小さなきっかけから始まる場合があります。
例えば集合住宅の場合、隣の部屋からの物音がそれほど大きくないにもかかわらずうるさいと感じて、それを『嫌がらせされている』と論理が飛躍してしまいます。
やがて周囲の無関係な人間が嫌がらせに加担していると思い込んでしまいます。
周囲が敵であると認識すると当事者は『自分の身を守らなければならない』と自己防衛するようになり、無関係な周囲のひとたちに攻撃的な態度や行動をとるようになってきます。
では、なぜ被害妄想になってしまうのでしょうか?
被害妄想になりやすい人には以下のような特徴があります。
想像力が豊かな人は被害妄想に陥りやすいです。
例えば、「咳払い」などが意図的に自分に向けられている、「監視していることをほのめかしている」などがあります。
こういった自分自身の想像が被害妄想のきっかけとなってしまうことがあるのです。
情報を鵜吞みにする人は、被害妄想になりやすいです。
現代ではさまざまなメディアに情報があふれており、情報の信頼度は自分で判断する力が求められる時代です。
例えば、上記の「車のパッシング」や「咳払い」が自身に向けられたことをネットで検索し、嫌がらせの記事にヒットすると『本当のことなんだ』と鵜吞みにすることがあります。
これまでにも隣人の被害妄想が原因でトラブルになり、事件に発展したケースは何件もあります。
以下に紹介する行動を隣人が繰り返すようなことがあれば、隣人は何らかのパーソナリティ障害(※1)を発症している可能性も否定できません。
妄想性障害のような話は多くの人が避けたい話題かもしれませんが、隣人に精神疾患など何らかの障害があった場合に備えておくことも大切です。
※1:パーソナリティ障害は「統合失調性パーソナリティ障害」や「非社会性パーソナリティ障害」など、細かく分類すると10種類以上に分けられ、そのうちの1つ「妄想性パーソナリティ障害」が妄想性障害を引き起こすと考えられている。
被害妄想がひどくなると、隣人がストーカー化する場合があります。
上記に該当するような行動を隣人がとり、あなたが身の危険を感じてどこか別の場所に引っ越しをしたとしても、居場所がバレてしまう危険性があるのです。
もしそうなってしまうと、居場所の特定をされるたびに引っ越しをする羽目になり精神的にも経済的にも大きな負担となってしまいます。
被害妄想癖のある人は、常に誰かが自分に嫌がらせをしている、危害を加えようとしている等々の思い込みや決めつけをします。
重度になると、嫌がらせをしていると決めつけた相手への憎悪感情は異常なほどになり、敵視するようにもなります。
2015年5月、大阪府豊中市のマンションに住む男(当時54歳)が、同じフロアに住む女性(当時33歳)をめった刺しにして殺害するという事件が起きました(犯人の男は自ら110番通報し、駆けつけた警察官がその場で現行犯逮捕)。
女性が抱きかかえていた長男(当時1歳)に怪我はありませんでしたが、亡くなった女性はお腹に第二子を妊娠中でした。
男は、被害女性のお腹の子どもの命まで奪ったことになります。
起訴前の精神鑑定で、男は「妄想性障害」と診断されましたが、取り調べの席では「いろんな人から嫌がらせを受けていた。マンションの住人がグルになって自分を監視していた、半殺しにしてやろうと思った」女性の子どもが玄関のドアを叩くので、数日前に文句を言いに言った」「エレベーターに乗ったら、後から被害者親子が乗り込んできた。我慢の限界で、6階で降りた直後に刺した」等々と供述し、犯行は認めたものの、被害女性を「殺すつもりはなかった」と殺意を否定していました。
女性を殺害した理由を、男は「(被害女性の)子どもが玄関のドアを叩いたから」と供述しています。
しかし、被害女性の夫が「事件の約1週間前、長男が容疑者の自宅の外壁をこすったので謝ったことがある」と証言したため、「我慢の限界」という男の犯行動機に疑問を抱かせました。
被害女性と男は同じフロアに住み、顔を合わせれば挨拶をする程度の関係だったので、男の被害妄想癖が引き起こした事件と考えるのが妥当でしょう。
2016年12月に開かれた公判でも、被告は「殺意はなかった」と主張し、弁護側も被告の精神疾患を理由に刑事責任能力(※1)を争点にしましたが、被害者の刺し傷が30ヵ所以上に及んでいたことや、「犯行時は興奮状態だったが、自分の行為を認識していた」として被告の殺意および責任能力を認定しました。
大阪地裁では、被告に懲役21年の刑が言い渡されています。
判決をくだす際、裁判長は「あまりに残虐非道な犯行」と述べました。
※刑事責任能力:事件を起こした際に、刑法上の責任を負えるか(罪に問えるか)どうかを判断する能力のこと。精神障害による心神喪失者(犯した罪の是非や善悪の判断ができない者)は刑罰を受けず、心神衰弱者(是非善悪の判断力が著しく低い者)の場合は刑が減軽される(刑法第39条)。薬物使用時や酩酊状態での犯行には心神衰弱が認められることもある。
2015年9月、埼玉県熊谷市でペルー人男性(当時30歳)が住宅3軒に次々に押し入り、小学生の少女2人を含む男女計6人を殺害するという悲惨な事件が起きました。
男は働いていた工場(群馬県)を事件の2日前に辞め、前日には「ペルーに帰りたい」「神奈川にいる姉に会いたい」などと片言の日本語で言い、熊谷署で身柄を保護されていました。
そのときから、「背広を着た男に追いかけられている」「殺される」などの妄想を口にしていたといいます。
熊谷署から逃走した翌日、男は住宅に押し入って夫婦2人を殺害します。
犯行後、男は事件現場にアルファベットのような文字を被害者の血で書き残しています。
翌日にはやはり住宅に押し入って独身女性を殺害(男は犯行現場となった住居で一夜を明かしたと推測)、その翌日にも別の家に押し入って母親と小学生2人の計6人を殺害します。
犯行にはいずれも包丁が使われました。
男は親子3人を殺害した家で自殺を図ろうとし、未遂に終わったところを捜査中の警察官に取り押さえられました。
精神鑑定の結果、男は「統合失調症」と診断されました。
一審では被告の精神疾患を認めたうえで死刑判決がくだされますが、二審では統合失調症が悪化して心神耗弱状態に陥り、被害者を「(被告に危害を加える)追跡者」と妄想しての殺人だったと判断し、判決は無期懲役に減刑されました(検察側が上告を断念したため、被告の無期懲役が確定)。
男はペルーでも貧民窟で知られた地域の出身で、「(男の)母親も双極性障害を患い、性格がコロコロ変わっていて周囲に信用されなかった。また姉の1人は統合失調症を患い入院歴があるうえ、別の姉は“うつ”で自殺しています」(週刊文春2015年10月1日号)とあり、兄はホームレスや売春婦ら25人を殺害した罪で懲役35年の刑で現在も服役中です(兄も精神鑑定で妄想性の精神病と診断)。
統合失調症は、発症の原因こそ解明されていませんが、遺伝との関連性は医学的にも認められています。
殺人事件にまで発展するのは稀有なケースかもしれませんが、隣人に統合失調症や妄想癖などの精神疾患があるとわかったときは、何らかの対応策を考えておく必要があります。
近隣トラブルが事件を誘発する可能性はないとは言い切れません。
参考1:熊谷6人殺害事件精神鑑定の医師「被告は犯行時、統合失調症に」(産経新聞 2018年2月15日付)
2021年8月、大阪府大東市のマンションで男性嘉本悟容疑者(当時48歳)が上階の女子大学生の吉岡さん(21歳)の居室へ押し入り、吉岡さんを鈍器で殴った後、何十か所も刺し殺害するという悲惨な事件が起きました。
吉岡さんの真下が居室だった男は既に火災による一酸化炭素中毒で死亡しているものの、警察は嘉本容疑者を書類送検で逮捕しました。
警察は嘉本容疑者がベランダに梯子から上階の吉岡さんの居室に侵入窓を割り部屋に入ると吉岡さんを殺害後、自室へ戻り自室を放火して一酸化炭素中毒死したと見ています。
勤務先のビルメンテナンス会社では、嘉本容疑者が無遅刻無欠席であるが無口な性格でプライベートなことは話さないため事件関与についてはわからないとしています。
事件が発覚後に親戚の証言によると、嘉本容疑者は数年前から音にたいして敏感になっていたと証言していました。
以前、嘉本容疑者の隣に住んでいた20歳の男性は、嘉本容疑者がこちらが音を立てていないのに壁を夜中にドンドン叩いていた、と交番に相談しに行ったことを証言しています。
嘉本容疑者は殺害に及ぶなど責めに帰すべきであるのは事実です。
但し、殺害された吉岡さんは趣味が「どんちゃん騒ぎ」だということをSNSで公言しているなど、頻発する上階での騒ぎは相当なものであったと他の居室の人が証言しています。
人によってはお祭り騒ぎが好きな女性と音の過敏症で統合失調症気質の男の組み合わせにより起きた事件と見なす人もいるようです。
参考1:女子大生殺害、隣人は恐怖感じ直前に引っ越し…事件の鍵握る「音」(読売新聞 2021年5月10日付)
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被害妄想癖のある人は常に誰かに嫌がらせをされている、つけ狙われていると思い込み、自分の言動に矛盾があっても認めようとせず、周囲の助言にも耳を貸そうとしません。
隣人と顔を合わせるたびに「部屋を覗くな」「夜中に壁をドンドン叩くな」「お前たちが俺を狙っているのはわかっている」などと言いがかりをつけられ、庭にゴミを投げ捨てられるような嫌がらせが続いたら、誰でも恐怖を感じると思います。
ここからは、隣人に妄想癖があるとわかったときの対処法をご説明します。
精神疾患を患っている人に「自傷他害」の恐れがある場合、精神科病院もしくは各都道府県の指定病院に強制的に隔離、入院させることができます。
こうした強制入院を「措置入院」と言います。
自傷行為というのは自殺を試みたり、自らの身体を傷つけたりする行為を指し、他害とは殺人、障害、暴行、放火など、他人に害をなす行為を指します。
「精神保健福祉法」では、『精神障害者又はその疑いのある者を知った者は、誰でも、その者について指定医の診察及び必要な保護を都道府県知事に申請することができる(第22条)』としています。
したがって、隣人の妄想癖により、危害を加えられる恐れがある場合は、誰でも隣人の「診察および保護」の申請をすることができます。
申請書は申請者の住所氏名などの他、「症状の概要」を記して最寄りの保健所に提出します。
隣人トラブルを警察に相談しても、隣人が何らかの危害を加えてきて、危険な目に遭ったという具体的な証拠がないと警察は動いてくれません。
例えば後をつけられた、顔を合わせるたびに罵倒されたり怒鳴られたりする、殴るような仕草をするなど、隣人の言動に身の危険を感じても、何も危害を加えられていなければただの嫌がらせとして片付けられてしまいます。
「殺してやる」などと脅された場合でも、脅迫罪に該当するかどうかは隣家との関係を見て判断するので、「注意警告」で済まされることもあります。
このように状況証拠だけでは警察はほとんど動いてくれませんが、脅迫文や殺人予告状などの物的証拠や嫌がらせによる被害状況を証明する証拠を入手し、提示することができれば対応してもらえる可能性が高くなります。
被害妄想による攻撃的な行動や通報などがあったときは、 犯人ではないことを証明し、「第三者の立場」で報告書を持参して冷静に説明することで疑いが晴れます。
引っ越せない事情があったり、身の危険を感じるときは専門家に任せてみるのも選択肢の一つとお考えください。
防犯セキュリティサポートでは、被害妄想が招く隣人(ご近所)に対しどのような「調査」や「サポート」を行なうのか?
隣人(ご近所)から騒音のクレームが入った場合、音の大きさを測る機材(騒音計等)を用いて測定を行ないます。
また、ご依頼者の行動調査を行ない、騒音がした時間帯にご依頼者が「在宅」だったか、居なかった場合、どこで何をしていたのか証明します。
匂いのクレームが入った場合、匂いを測る機材(臭気測定器等)を用いて測定を行ないます。各種測定調査は、数値の値を報告書にまとめてお渡しいたします。
身に覚えのない言いがかりに対し、「犯人(加害者)」ではない証拠を収集し、隣人(ご近所)に証明を行ないます。
騒音や匂い以外にも、監視・悪評流布・つきまとい等のあらゆるトラブルに対応していいます。
また、当事者同士が話し合いを行なうのは、更なるトラブルを招く恐れがあります。
そのため、当事務所の「上級心理カウンセラー資格保有者」が解決・和解までのトータルサポートを行ないますので、まずはご相談ください。
トラブルサポートは、調査や証拠収集のみならず、自宅に監視カメラを設置する等の「防犯セキュリティ」もお任せください!
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また、ご予算をお知らせいただければ、「最適な調査プラン」をご提案いたします。
行動・素行調査
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素行調査7日間プラン:700,000円~
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風評調査パック(30日プラン):150,000円~
ご相談内容は厳守いたしますので、外部に漏れる心配はございません。
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