今や出会いの場として市民権を得たマッチングアプリですが、トラブルも数多く起きています。
その中には「マルチ商法」への勧誘被害も確認されており、注意が必要です。
マルチ商法への勧誘は男女問わず受ける可能性があり、金銭・対人トラブルの引き金になりかねません。
被害を受けないための対策をしつつ、もし被害に遭った際には探偵などに相談して全容解明をするのがおすすめです。
この記事では、マッチングアプリでのマルチ商法勧誘の手口や勧誘者の特徴、探偵にできる対策方法を紹介します。
執筆者 / 藤井 ケイティン 2024年1月13日
1991年生まれ。オンライン上のトラブルや盗聴盗撮などの機械系調査を専門とする。机の上には常時スナックスティックが置いてある(笑)監修者ページ
マッチングアプリでは、マルチ商法勧誘の被害が日常的に発生しており、いつ巻き込まれるかわからない状況だといえます。
しかし、対策を打つためにはまずマルチ商法とは一体何か、受けるかもしれない被害の知識を身につけるべきです。
マルチ商法とは、商品を買わせてその購入者に別の買い手を探させて、商品を売りつけさせる商法です。
1人の購入者に2,3人の買い手を見つけさせることで、ピラミッド式に販路を拡大する狙いがあります。
買い手がさらに商品を売ると、その売上の何割かが手元に入るシステムなので、販路が拡大する度に大元の人間が潤う仕組みです。
マルチ商法のシステムは、話だけ聞くと自分が2,3人に商品を売るだけでその後収入が入り続けるので、とても簡単なお金儲けに聞こえるかもしれません。
しかし、営業経験のない素人が2,3人に商品を売るのは極めて難しいです。
商品の金額も数十万円と高額な場合もあり、簡単に購入できるものではありません。
買い手が見つからない場合、売れ残りの損害を購入者に借金として背負わせることが大半です。
また、家族・友人・知人に高額商品を買わせようとすれば、人間関係に亀裂が走る要因となります。
営業に失敗するパターンが大多数なので、マルチ商法に引っかかることで数百万円もの借金と人間関係の崩壊という巨大な損害を背負うでしょう。
マルチ商法と同じようなものとして「ねずみ講」があります。
ねずみ講は、セミナーや講習の参加者に他の人を勧誘させることで紹介料を渡す名目で会員を増やす商法で、確かにマルチ商法と似ている点も。
しかし、両者には利益を得る構造に違いがあります。
ねずみ講は会員を増やさないと成り立たないビジネスモデルなので、勧誘できる人がいなくなればいずれ破綻します。
しかし、マルチ商法は商品を売れば成り立つため、同じ人に商品を買わせ続けられたら破綻の可能性は低くなります。
また、現在ねずみ講は法律で禁止されていますが、マルチ商法は禁止されていないのが現状です。
ですが特定商取引法で厳格な規制が設けられており、これに違反すればマルチ商法でも違法となります。
マッチングアプリ上では、マルチ商法だけでなくさまざまな怪しい勧誘が行なわれています。
過去には違法な勧誘で逮捕にまで至った事件もあるため、どのような事例があったのか確認しておきましょう。
マッチングアプリを通じて知り合った相手に販売目的と告げず、しつこく勧誘したとして、経済産業省中部経済産業局は10日、特定商取引法違反(勧誘目的の不明示など)で、訪問販売会社「OLC」(名古屋市中区)と同「ハーティスト」(同)に対し、3カ月の一部業務停止を命じた。
中部経産局によると、ハーティストの販売担当者は、マッチングアプリを通じて知り合った消費者をOLCの事務所に誘い出し、1人当たり50万~150万円で自己啓発セミナーへの参加を契約させていた。
全国の消費生活センターに2019年12月以降、2社に関する相談が89件寄せられ、違法な勧誘による契約額は1億円近くに上った。大半は20代と30代の男女で、契約金を支払うために消費者金融を紹介され、借金したケースもあったという。
(引用:マッチングアプリで違法勧誘 訪問販売2社に業務停止命令―中部経産局:時事ドットコム)
東京都は、令和5年3月6日付で、大学生等を勧誘し、借金をさせて情報商材入りタブレットの販売及びビジネススクールの役務提供の契約を締結させていた3事業者及び勧誘者1名に対し、特定商取引に関する法律に基づき、9か月間(勧誘者は3か月間)の業務等の一部停止を命じるとともに、違反行為を是正するための措置を指示しました。
また、3事業者の代表者等に対し当該停止を命じた範囲の業務を新たに開始すること等の禁止を命じました。
(引用:マッチングアプリ等で誘い出した大学生等に借金をさせ高額な契約をさせていた3事業者及び勧誘者に業務停止命令 | 東京くらしWEB)
そもそもマッチングアプリ内での勧誘行為は、利用規約にて禁止とされていることが大半です。
特に有料マッチングアプリでは、こうした規定は厳格に定められています。
■宣伝活動や勧誘行為
物品やサービス等の宣伝・勧誘・販売等をする行為を禁止します。
お相手を自分以外の第三者に紹介する行為も禁止します。
(引用:禁止行為について – Omiaiヘルプ)
もし何かに勧誘されたと感じた時点で、すぐにその相手を運営に通報しましょう。
マッチングアプリでのトラブルは、主に男性が多く受けるイメージがあるかもしれません。
しかし、マルチ商法勧誘は女性であっても被害を受ける可能性が大きいです。
マルチ商法勧誘を行なう人には、男女問わず共通の特徴があることを理解しておきましょう。
マッチングアプリには、ブランド品や高級車の写真、またはパーティー時の写真などを多数載せている人がいます。
これには自分自身をお金持ちだと演出し、多くの人と接点を持とうとする狙いが考えられます。
お金に気を取られて連絡した人に対して「いい儲け話がある」と持ちかけて勧誘する可能性が高いでしょう。
また、マルチ商法の団体には豪華なパーティーを定期的に開催するものもあり、その場面写真とも考えられます。
いずれにせよ、お金がありそうという理由だけで連絡を取るのは避けたほうがいいでしょう。
プロフィール上は普通に見える人でも、いざ連絡してみると言葉巧みに勧誘してくる人もいます。
特徴としては、いかにも目的意識や上昇志向が高そうな、いわゆる「意識高い系」の言葉を使う点です。
一見、自分の目標や愚痴を聞いてくれるような雰囲気を感じるかもしれません。
しかし、これは不満を引き出した上で儲け話に勧誘する流れを作っているだけです。
そもそも出会いを求めるマッチングアプリで仕事の話をし過ぎても恋愛には繋がりにくいでしょう。
不自然なほどに「夢」「目標」をアピールする人は警戒した方が良さそうです。
マッチングアプリは恋愛的な出会いを求めるためのツールです。
そのため自分と相手の2人で会うのが自然ですが、複数人での集まりに誘ってくる場合は注意しましょう。
中には初回のデートでいきなり20~30人規模の集まりに呼ぶことも。
これは、複数人で囲い込むことで勧誘から逃れられないようにする狙いがあります。
2人だけであれば断り切ることも難しくないでしょうが、複数人で断りにくい場の空気を作られると毅然と対処できなくなる心理が働いてしまうでしょう。
まず、恋愛をしたい相手と複数人で会うメリットは薄いため、こうした誘いには怪しさを感じるべきです。
マルチ勧誘の手口として、マッチングしてから連絡を重ねず、すぐにカフェデートを提案するものがあります。
だいたいの場合、ある程度メッセージや電話でのやり取りを重ねてから実際に会う流れになるため、会うまでには1,2週間ほどの期間がかかるもの。
そのステップを飛ばして喫茶店に行こうとするのは、勧誘を行なう可能性が考えられます。
特に勧誘目的の人は某喫茶店チェーン店を指定することが多く、その店名を出されたら警戒を強めましょう。
中には初回デートでは勧誘をせず、信頼を重ねた3,4回目でようやく勧誘をすることも。
もし複数回デートしているのにずっとカフェデートが続く場合は注意が必要かもしれません。
カフェデートで2人で会う話だったのに、会ったその場で「会わせたい人がいる」「『師匠』を紹介したい」という流れになったら危ないです。
師匠とされる囲い込みのプロが現れ、あの手この手で勧誘をされるでしょう。
2人がかりで勧誘されると、断りにくい空気が強まると思います。
しかし、このような場合は師匠を呼ばせないようにし、すぐにその場から離れるようにしましょう。
やり取りの中で、好きな本として「金持ち父さん貧乏父さん」を挙げた場合は警戒した方がいいでしょう。
この本はマルチ商法にハマる人の教科書とも言われているものであり、著者も大規模マルチ商法グループとの親交が噂されています。
また、デートをする中でこの本をおすすめされた場合も疑いを強めましょう。
マッチングアプリでやり取りする相手が勧誘目的かどうか、見極めるポイントが存在します。
このような特徴が見られるとマルチ商法などへの勧誘目的である可能性があるため、今やり取りしている相手があてはまっているか確認しましょう。
勧誘目的であるユーザーの特徴としては、何気ない言葉をポジティブな印象のある漢字に変換している点です。
常用の言葉ではないため違和感を感じるかと思いますが、その認識はおそらく間違っていないでしょう。
下記のように変換した言葉を、プロフィールやメッセージ内で使用していたら注意が必要です。
これらの言葉はマルチ商法のグループの中で、所属メンバーの意識を高める狙いで使われていることが考えられます。
このような言葉の変換を使用する人には警戒しましょう。
勧誘目的の人は、自らの言葉の説得力や勧誘の成功率を上げるためにハイスペックな経歴を過剰にアピールする傾向があります。
本当にハイスペックな人は、自らの学歴・経歴を大きく振りかざすことはしません。
表面的な魅力で人を惹きつけようとする人には、後ろめたい目的があると疑っていいかもしれません。
また、マッチングアプリ上で書かれていることが真実だと証明する手立てもないため、内容を完全に信用するのも止めましょう。
プロフィール上で「投資をしている」といった文言がある場合も、勧誘してくる可能性があるユーザーと考えられます。
恋愛において、投資をしているかどうかはアピールポイントにはならないでしょう。
それでもわざわざ記載することは、自らがお金を持っていると主張したい意図が伺えます。
しかし、このようなユーザーとやり取りしても、待っているのは投資を謳った悪徳商法への勧誘です。
お金をアピールするユーザーとは距離を置くのがいいでしょう。
プロフィール上で特に怪しい部分がなくても、すぐに会いたがる人には注意を向けましょう。
特に、やたらとカフェに行きたがる女性には警戒を向けた方が無難です。
こうしたユーザーはいち早い勧誘の機会を伺っているため、すぐデートに持ち込もうとします。
デートに行った先で仲間と連携して勧誘を行なう可能性もあるため、マッチングしてすぐにカフェデートを提案されたら警戒すべきです。
マルチ商法の商材には、化粧品・美容品が取り扱われることもあります。
そのため、美容のアピールが強い女性はマルチ商法に男性を勧誘しようとする狙いがあるでしょう。
ただ、実際に美容関係で働く女性も多いため、これだけを判断材料にすることはできません。
必ずそれ以外の特徴も確認した上で、マルチ商法への勧誘目的か見定めるようにしましょう。
もしマルチ商法の勧誘を受けてしまった場合、どんな対処をすればいいでしょうか。
早い内であればクーリングオフ制度が適用されますが、期間が過ぎた場合は別の対処法もあります。
クーリングオフとは、消費者が契約書面を受け取ってから20日以内であれば無条件で契約を解除できる制度です。
この契約とは、サービスへの契約だけでなく商品の購入も該当するため、マルチ商法によって購入した商品代金も返還可能です。
クーリングオフを通知するはがきを、該当する事業者に簡易書留または特定記録で送ることで代金を請求できます。
クーリングオフを利用したいけれど詳細がわからない場合は、消費生活センターにアドバイスをもらいましょう。
もしクーリングオフ期間の20日間を過ぎても、下記にあてはまる場合は契約を解除できる場合があります。
契約解除の可否はケースバイケースになるため、少しでも契約解除できる可能性があるか知りたい場合は消費生活センターに連絡しましょう。
マルチ商法の手法自体は違法ではないため、警察に動いてもらうことは難しいです。
しかし、マルチ商法の主催者や団体の実態を明らかにして、不正を突き止めたい場合は当探偵事務所にご相談ください。
調査員が勧誘者と直接接触したりセミナーに潜入するなどの手法で、普通では入手できない決定的な証拠を確保します。
また、提携弁護士とも連携を取り、調査によって得た証拠を基にした法的措置のバックアップ体制も準備しております。
被害が完全に解決するまでトータルサポートを行ないますので、マルチ商法の勧誘でお困りの際はご連絡ください。
過去にあった、マッチングアプリでマルチ商法の勧誘を受けたという相談の事例をご紹介します。
被害解決の参考になる内容ですので、ぜひご参考ください。
喫茶店デート中に囲い込みを受けて…
埼玉県:男性 20代
マッチングアプリで知り合った女性から高額商品を買わされました。
「カフェとかで話してみたい」と言われ、少し古びたビルにある喫茶店チェーンに誘われて入りました。
するとたまたま女性の知り合いの男性がいまして、なぜかその男性と一緒の席につくことに。
会話の中で「今どんな仕事してますか?」「実際儲けてますか?」など仕事に関して結構踏み込んだ内容にまで話が及びました。
その中で「副業におすすめですよ」と栄養食品の販売を勧められました。
売れば紹介料が入るし、売った相手がさらに商品を売ればマージンが入るという話が続き、いつかは脱サラを目標にしていたのもあって、その商品を買うことに。
ですが実際にやってみたら商品はまったく売れず、友人に片っ端から連絡しても相手にされず、LINEをブロックされることが続きました。
そうする内に「売れなかった商品分の代金は払ってもらう」と言われ、クーリングオフをすると伝えても「できない」の一点張りで相手にされませんでした。
この時点で目が覚めて、マルチ商法に引っかかったと確信しました。
どうにかこの商品購入を無効にして、代金もきっちり返してもらいたいです。
被害を受けたというマルチ商法の業者に対して、まずは調査員が勧誘者と直接接触しての実態調査を実施しました。
確かにご依頼者がお伝えいただいたように、偶然居合わせた男性と相席になって勧誘される手法でした。
調査の結果、勧誘に際して主に勧誘をする男性は自らの名前を名乗っておらず、これは契約が違法になる要件にあてはまります。
ご依頼者にも勧誘してきた人物の特徴と勧誘時の様子を聞き取ったところ、調査員が接触した人物はご依頼者を勧誘した人物と同じであると判明。
また、ご依頼者も勧誘時に男性からの名乗りを受けていないと判明し、こちらを基に提携弁護士と連携して訴訟に移ることに。
ご依頼者には調査結果をまとめた報告書もお渡しして、裁判に臨まれるとのことです。
マルチ商法に加担してしまうと、お金だけでなく人間関係も一気に失う大きな被害に繋がりかねません。
できれば危険を感じ取っていち早く被害を回避できるのが一番ですが、その時の心理状況や勧誘者の巧妙な手法により、断れなかった方もいるでしょう。
もしそうなっても、諦めることはありません。
探偵が行なう証拠収集によって、マルチ商法をする個人・団体の実態を調査し、被害の決定的な証拠を確保します。
証拠があれば、クーリングオフ期間を過ぎての契約解除ができる可能性も一気に広がります。
お困りの際は、24時間365日受付中の相談窓口までご連絡ください。
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